過去ログ - 実験動物は生を望む夢を見るか? とあるミサカの追憶夢想
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:56:17.74 ID:UKWy2o690

もう――何を感じればいいのか分からないのです。目覚めた頃は新鮮に感じていた恐怖も、悲しみも、今は全て、乾いたリンゴを口にするかのように、それらは味気ないものとなっていました。
ミサカは死を経験しすぎた。あまりにも多くの悲しみを知ってしまったのです。他の妹達は知らない、悲しみと言う感情を。

ミサカの心はどこに向かっているのでしょうか。個体の命が散る度、その遺体を処理するたびに、ミサカの中の心には少しずつ黒い穴が空いて行くようです。
以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:56:50.46 ID:UKWy2o690

恐怖も。

痛みも。

以下略



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:57:19.31 ID:UKWy2o690

心ない人形として死ぬことが出来れば、それほど幸福なことはないでしょう。

もう、ミサカは疲れたのです。

以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:57:55.46 ID:UKWy2o690

空には三日月が浮かんでいました。ああ、あの日、少年が戦いを挑んだ夜も――同じ月が浮かんでいた。


第19090次実験。今宵、この時が、ミサカが見ることになる最後の夜。
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:58:21.88 ID:UKWy2o690

彼の表情は以前のように不気味な笑みを浮かべることも無く、彼もまた、機械のように実験をこなして来ました。

いえ、機械と言うと少し違うかもしれません。その表情は、あの晩から陰りを大きくさせたように見えます。

以下略



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:58:57.00 ID:UKWy2o690


……死ぬ?


以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:59:32.69 ID:UKWy2o690

死ぬこととは、もう、何も感じなくなると言うことなんです。

この世界を、もう二度と見ることが出来なくなると言うことなんです。

以下略



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:00:15.17 ID:UKWy2o690

一方通行「オマエ……何で泣いてやがンだ」

ミサカの前に立つ彼が、一方通行が、そう小さく呟き、そこでミサカは初めて自分が泣いていることに気付きました。頬を濡らし、それは荒れた地面に染み込んで行きます。

以下略



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:01:01.07 ID:UKWy2o690

一方通行「……何を言って」

19090号「あの少年も、お姉様もまだ生きている! ミサカはあの二人とまた話したい! もっと人と関わりたい! ミサカには、まだ、やりたいことが、沢山……沢山……っ!」

以下略



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:01:40.36 ID:UKWy2o690

ああ、なんと滑稽な姿でしょう。他のミサカたちがあれほど忠実に己の責務をこなしたと言うのに、今更ミサカは、自分だけは助かりたいと、死にたくないと、そう言ったのです。

疲れていた? 眠りたかった? ――何を馬鹿な。

以下略



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