過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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599:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/01/15(木) 17:30:24.64 ID:2jPBwEpe0


由比ヶ浜なんかは、毎回俺に質問してくるんだから、ちょっとは自分一人でやれよと

言いたくなる事もあるが。

俺はするりと解答用紙を教卓の上に提出し、橘教授を見ないように出口の方へと向きを変えた。

提出完了。あとは早足でここを切りぬけて、室外に逃げるのみ。

テクテクと突き進み、あと少しで教室の出口というところで、聞きたくない音を

耳が拾ってしまった。

なんでこういう音だけは拾ってしまうんだよ。

たくさんある音の中で、しかも似たような音がいくつも重なっている場面で、

たった一つ、俺が一番聞きたくない音だけを耳が拾ってきてしまう。

全速力の早足が、徐々に勢いに陰りを見せ、通常歩行へと移行する。

それでも出口までの距離は短かったおかげでどうにかドアノブを掴むことができた。

けれど、怖いもの見たさっていうの?

見たくはないんだけど、知らないままでおくのも怖い。

だったら見ておいてから後悔するほうがましなのだろうか。

ここで結論が見えない迷宮に深入りする時間もないし、なによりも現在進行形で目立ち

まくっているわけで、俺が取るべき行動はこのドアノブをまわして、

出口から室外に出る事だ。

しかし、人の意思は弱いもので、ドアノブをまわしてドアを開け、

一歩外へと踏み出した瞬間に、見たくもなかった光景を見てしまう。

振り返らなければ、見ることもなかったのに。でも、見てしまった。

もちろん後悔しまくりだ。

俺の視線の先には、俺の解答用紙を凝視している橘教授がいた。

俺が見たその姿は、数秒だけれども、死ぬ前の走馬灯のごとき時間。

けっして死ぬわけではないのだけれど、閻魔さまは確かにそこにはいた。

ここから逃げ出して走ったのか、遅刻しない為に走ったのか。

もちろん後者のためなのだが、本能が前者を指し示す。

駅のホームに着いたところで時計を見ると、想定以上に早くつくことができていた。

電車がやってくるアナウンスもないし、慌てて階段を駆け上ってくる客も俺一人しかいない。

これは橘教授効果だなと、皮肉を思い浮かべることができるくらいまでは

精神は回復したいた。

電車に間に合った事で、自然と子供が見たら泣くかもしれない(雪乃談)笑顔を浮かべていると

マナーモードにしていた携帯が震え、俺も心臓を止めそうなくらい震えてしまう。

もう、やめてくれよな。びっくりさせるなよと、携帯の画面を確認すると、

弥生からの電話であった。

あいつも俺と同じように解答だけは出来上がっているんだから、

もう小テストは終わったのだろう。そうしないと、電話をする事は出来ないし。

・・・・・・でも、もし、いや、あり得ないとは思うけど、でも、ん、なくはないが、

橘教授が弥生の携帯を借りて俺に電話したとしたら?





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