過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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965:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/07/30(木) 17:15:34.26 ID:QZCHccKj0

第58章



八幡「そういえば由比ヶ浜も陽乃さんの企てに巻き込まれて災難だったな。
   明日会ったらフォロー入れておかないとな」

雪乃「それは必要ないわ」

八幡「雪乃が既にフォロー済みなのか?
   それならわざわざ俺が話を蒸し返す必要もなくて助かるんだが」

 由比ヶ浜大好き雪乃さんであるわけだから、携帯を探すのを手伝ってもらって時点で
礼をしているか。時々雪乃の由比ヶ浜への厚遇に、俺が妬いているのは内緒だけど……、
絶対言わないがな。絶対にだ。

雪乃「いいえ、違うわ」

八幡「だったら俺がする必要があるんじゃないか? それとも雪乃が直接したいとか?」

雪乃「いいえ。そもそも由比ヶ浜さんは手伝っていないもの」

八幡「というと?」

雪乃「昨日の講義の後、由比ヶ浜さんと会っていないのよ。講義が終わって携帯がない
   のに気がついたのだけれど、そのとき姉さんがいたから先に八幡の元に行って
   もらったのよ。姉さんに携帯をなくした事を伝えてもらおうと思ったのに、
   まさか八幡を連れ去るとは思いもしなかったわ」

八幡「俺も連れ去られるとは思わなかったわ」
   俺って案外騙されやすいんでしょうかね?

 普通の一般人相手なら最初から警戒しまくりで対応するが、陽乃さん相手だとその警戒も
効果ないんだよな。うん、今回は相手が悪い。だから俺は悪くない。
俺が連れ去られた社会が悪いんだ。というわけで、俺の中では一件落着かな、
とどうでもいいことを考えていると、当の雪乃さんは思いのほか真剣であった。

雪乃「私も油断していたわ。まさか実家に連れ去るとは思いもしなかったわ。しかも手が
   かりさえないんだもの。私が探さなそうな場所を選んだというのならそれまでだけれど」

八幡「そうか? 俺は陽乃さんだから実家に連れていく可能性は高いと思っていたんだが」

雪乃「あなたは姉さんと一緒にいる時間が増えているでしょうから、その分八幡も姉さん
   の行動パターンがわかるようになってしまったようね。ええ、仲がよろしいことで……」

八幡「俺を追いこむなよ」

 まじでやめてください。俺を睨みつけて、委縮させて、脅迫したとしても、なにも出て
きませんよ? そもそも、俺はすでに比企谷家からは見捨てられていますって。
 親父なんて最初の一報で小町に害が及ばないようにと俺を切り捨てるはずだ。
 まあ、小町はいい。小町に危険にあわすわけにはいかないから、
小町は俺の気持ちをくんで、俺を見捨ててくれている「だけ」のはず……。
うん、そうに違いない。そうでなくてはならない。……ね、お願いしますよ、小町さん。

雪乃「まあいいわ。八幡に八つ当たりしても意味はないのだから。
   でも、その分傷ついた私を癒してくれるのでしょうね?」

八幡「それがご要望でしたら、この八幡全身全霊を持って努めさせていただきます」

雪乃「期待しているわ」
   雪乃はふっと肩の力を抜き、はにかんだ笑みを俺に見せる。

 こうして見ると、やはり陽乃さんと雪乃は姉妹なんだなと実感してしまう。
母上様も似ていらっしゃると思うが、俺には見せてくれないだろう。
 見る機会があったら、それはそれで一大事だが……。
 同時に俺も雪乃に気取らない笑顔を見せているのだろうか、と疑問に思う。俺が笑顔を
見せるなんて自分で考えてみると気持ち悪いだけだが、心を許した相手の笑顔は格別には
違いない。げんに捻くれ日本代表クラスの俺でさえ癒されてしまう。
 その笑顔を、心を許した証拠を、俺は雪乃に示せているのだろうか?

八幡「できることしかやれないけどな」

雪乃「それで十分よ。だったらさっそく食事を用意してくれないかしら?」

八幡「てっきり由比ヶ浜と食べてきたと思っていたから、
   帰りに何も買おうとは思わなかったんだよな。ただ、こんな時間だし、
   何か出来あいの物を買ってきた方がよかったな」

雪乃「八幡が気が付いていたとしても、何も買わなかったと思うわよ。
   自宅で作る分には食材のストックは間に合っているもの。
   それに、八幡に作ってもらう予定だったのだから、出来あいの物は買わないわ」

八幡「さようですか」



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