過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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黒猫
◆7XSzFA40w.
[saga]
2015/08/20(木) 06:12:57.42 ID:hzyaEAjx0
第59章
7月14日 陽乃
車をマンション近くの駐車場に入れ、てててっと足取り軽く横断歩道を渡っていく。
まだ朝早く車の数も少なく、また、元々ここの道路の交通量は極めて少ない為に
この駐車場利用者は横断歩道を使わず道路を横切るのは普通ではある。
かくいうわたしも普段は横断歩道を使わないのに、
今朝は遠回りまでして律儀に横断歩道を使ってしまった。
どうして横断歩道を渡ったのか。しかもウキウキ気分で。
その理由は、なんてこともない。ただたんに浮かれていただけ。それだけなのよね。
タワーマンションを見上げると、朝日が無数のガラス窓をきらめかせている。目を細めて雪乃
ちゃんの部屋を探そうとしてはみるが、あいにく海側の部屋だからここからは見えるはずもない。
またもやはやる気持ちが溢れ出ている事に気が付き、我ながら苦笑いが漏れてしまう。
でも、悪くはないかな。むしろすがすがしいほどに心は晴れ晴れしてるし。
きっと今日も暑くなってだるいだろうけど、夏の朝は嫌いではないのよね。
手慣れた手順でマンションの中に入って行き、目的の階まで上がっていく。エレベーターで
すれ違った住民に対しては、頬笑みを交えて軽く会釈する事も忘れてはいない。
いくら浮かれていようが、体に染みついた社交性だけは条件反射的に行動に移してしまった。
さて、一つ問題があるのよね。
家の鍵はある。実家に保管してある鍵を持ちだしているから問題はない。
まあ、最近では実家に保管していないで、わたしのバッグに常駐してはいるけれど。
とりあえず玄関のドアを開けてみればわかるか。
ドアガードがしてあるといくら鍵を持っていても入れないのよね。
これがチェーンだったら自宅から工具持ってきたけど、さすがにドアガードを切る工具はないし。
…………今度買おうかな? でも、壊すたびに修理費請求されるだろうから考えものね。
なんて杞憂もあっさりと解決した。
おそらく八幡が新聞を取りに行って戻ってきた際、鍵だけかけたようね。
これが雪乃ちゃんだったら、律儀にドアガードまでしっかりかけるはずだし。
ドアが開いたってことは、中に入ってきなさいってことよね?
だったら入らないと悪いか? うん、じゃあ入っちゃうね。
と、勝手に自己完結したわたしは音をたてないように室内にリビングのドアを開けた。
中を覗くとソファーには誰も座ってはいない。
ただ、パンと紅茶の香りが漂ってくるところからすると朝食の準備中なのだろう。
わたしがさっそく物音を立てずにキッチンの方に進むと、八幡が料理をしていた。
当然ながらこちらを向いていた八幡はわたしのことに気がつく。しかし、朝だからなのか
感情の起伏を見せない八幡は、事務的に事実確認をするようかのように問いかけてきた。
八幡「どうしてここにいるんですか? まだ朝ですよ」
陽乃「んん? それは目が覚めたからかな」
八幡「朝になれば目が覚めるものですって。
俺としたら幸福な夢ならずっと起きずに見ていたいものですが」
陽乃「夢なんて中途半端じゃない。どうせなら自分がしたいように行動したいから、
夢なんて見たくはないわね」
八幡「陽乃さんらしいですね」
雪乃「……姉さんっ。どういうことなのかしら?」
朝の軽いやり取りをしていると、当然ながら雪乃ちゃんがふくれっ面でわたしにつっかかって
くる。これも予定通りなんだけど、もう少し愛そうがいい顔をしたほうがいいと思うぞ。
……媚を売る雪乃ちゃんって、それはそれでとてつもなく恐ろしいから、前言撤回ってことで。
陽乃「どういうことといわれても。とりあえず、八幡が料理している姿に
見惚れている我が妹を眺めているだけよ?」
媚びは売らないけど、惚気てはいるのよね……。ある意味お母さんそっくりで、遺伝ってある
のかもしれないって本気で悩みそうね。なにせ、わたしもその遺伝子があるかもしれなし。
雪乃「…………別に見惚れてなんていないわ。ただ……、そうね…………八幡がしっかりと
朝食を作っているかを監視していただけなのよ。
ええ、そういうことだから、姉さんの指摘は間違っているわ」
陽乃「なら八幡を監視していたら、その姿に見惚れてしまって、
監視していた事さえ忘れてしまったといったところかしら?」
雪乃「なっ……。はぁ……もういいわ。朝から姉さんのテンションについていこうとすると、
午前中で息切れしてしまうわ」
八幡「陽乃さん、朝食食べますか? 食べるんでしたら一緒にどうです?」
あら? おやさしいこと。ほんと八幡って雪乃ちゃんを甘やかすのよね。
いっつも雪乃ちゃんが引き下がれなくなる前に介入してくるんだもの。
こっちもあからさま過ぎてやる気がなくなっちゃうってば。
でもねぇ……、ただじゃひかないんだな。
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