過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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黒猫
◆7XSzFA40w.
[saga]
2015/09/03(木) 06:02:23.68 ID:DdbHCPdS0
しゅんっと肩を落とす姿はまさしく親に叱られた子供のようだった。
八幡「とりあえず茶碗、みそ汁用の椀、それに箸ですかね。
箸もいつまでも来客用のとか割り箸とか使ってられないでしょうし」
陽乃「そうね。あとは湯のみ茶碗が必要かしら? 紅茶やコーヒーのものは
家にたくさんあるけれど、湯のみ茶碗くらいもそろえておきたいわね」
八幡「じゃあ、その辺を中心に見ておきますね」
ここで今あげたものを全部買ったらいくらになるかなんてことは考えないでおこう。
もうこの姿そのものが昔あこがれていた主夫の姿の一端かもしれないが、
自分で稼いだお金で買えない事に不安を覚えていた。
雪乃も陽乃さんも正確に言えば雪ノ下家の金を使っているにすぎない。
おそらく親父さんから渡されているクレジットカードや現金を使うのだろうけど、
そこは家族だし、親父さんは親でもある。
けれど俺は他人であり、いくら将来を考えた交際をしていようと、
あくまで他人にすぎないのだ。
この状況からすると、寄生はいやだけど養われたいなんて無謀どころか
俺にはあっていないとさえ思えてしまう。
ぼっちは自分の責任でやっていたとするのならば、やはり大人になって生活していく
としても自分の稼ぎでやり抜かなければと考えてしまう。
高校生だった俺ならば、主夫も仕事の一つであり、社会的にも認められた職業だと
反論してくるだろう。だけど、主夫の一端を経験してしまった俺としては、
養われるという他人依存にどうしても心が落ち着かないでいた。
陽乃「どうかしら。心に残ったものくらいはでてきたかな?」
俺が目の前の食器以外の事に思い悩んでいるのを真剣に茶碗を見ていると
錯覚してくれた陽乃さんは、進捗具合を聞いてきた。
まあ、陽乃さんのことだから、俺が他の事を考えていた事さえ気が付いていたかもしれない。
そして、俺が深みにはまらないように……、いや、もう考えるのはよそう。
陽乃さんもさっきまでの陰りをぬぐい去ろうとしてくれているのだし。
八幡「そうですね。もう少し見比べてみます」
陽乃「わかったわ。雪乃ちゃんは?」
雪乃「私は……」
陽乃「別に夫婦茶碗にこだわらなくてもいいのに」
雪乃「こだわってなどいないわ」
雪乃は静かな売り場には似合わない大声をあげてしまい、数少ない客も、
客の数と同じくらいの店員も一斉に俺達に注目してしまう。
俺は気にはしないが、雪乃は自分の失態にみるみると顔を赤らめ首をすくめる。
陽乃さんは雪乃の失態には気にもかけていない態度を取り、
いつも通りの妹大好きお姉ちゃん対応をしてくるのかなと思い見やると、
下唇を軽く噛み締めきつい目つきで雪乃を見つめる陽乃さんがそこにはいた。
しかし、俺の視線に気がついたのか、陽乃さんは今さっきまでの
表情などなかったかのようにいつもの陽乃スマイルを作りだしていた。
ぞっとするほど自然な笑みに俺は恐怖を覚える。
こんな気持ちはいつ以来だろうか。
背筋が凍るほどの違和感が俺に寄りかかり、
陽乃さんに距離を取られてしまったと気がついてしまう。
ただ、そんな違和感も、俺の警戒を機敏に察知した陽乃さんは、物悲しそうとも、笑顔を
作るのを失敗したともとれる微妙な頬笑みを俺に向けながら近寄ってこようとしてはくれた。
八幡「まっ、雪乃が夫婦茶碗を中心に選んでくれるんなら、それはそれでいいんじゃないか?」
雪乃「そうなの?」
八幡「まあなんだ、俺は茶碗の良しあしなんてわからないし、そもそも100円ショップ
の茶碗を出されたって高級茶碗どころか普通のスーパーに売っている茶碗と
さえ区別がつかないほどだ」
雪乃「そこは区別してほしいところであり、
胸を張って言うべきところではない気もするのだけれど」
八幡「いちいち突っ込みを入れるなって」
雪乃「それでなにを言いたいのかしら?」
八幡「つまりだな。俺が選んでもメリットが何もないって事なんだよ。
茶碗を選ぼうにも、値段くらいしか判断基準がない。
そうなると安くて、……あとはそうだな丈夫そうなのを選ぶことになると思うぞ」
雪乃「残念にも、そうなってしまいそうね」
八幡「だったら、最初から雪乃が俺のも一緒に選んでくれた方がいいんじゃないかって
事だ。あとついでにみそ汁用の茶わんと箸も一緒に選んでくれると助かる。
……あと湯のみも頼む」
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