26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/29(木) 20:07:48.95 ID:jPxrNCQ30
身分違いの恋に立ち向かう物語、か。
ならばオチも大体は読める。
例え時代が違おうが基本的な起承転結は変わらない。
おかしなものだ、時代によって同じ作品は二つとないと述懐したばかりなのに、物語という名前がついている以上、骨子は似通っている。
始まりと終わりが無ければ物語にはなり得ないからだ。
「……仕方ないな」
明確なストーリーがわからない以上不安は残るが、急がないと間に合わなくなる可能性もある。
残った役、僕は歌舞伎役者か。
ならば丁度いい、大見得でも切ってやろう。
影に手を突っ込み心渡を取り出す。
ネクタイを片手で外して投げ捨てると、切っ先を荒木に向けた。
「鷺沢は渡さない。例え許されざる恋慕だとしても、貫き通してみせる!」
「生意気な! その強気、何処まで続くっスかねぇ!?」
「んん――!!」
王道のストーリーならば、ここで兄が悪役を演じわざと負ける、本気で戦ったが負ける、等の予測が立つ。
「待ってろ鷺沢、今助ける!」
怒号と共に心渡で斬り掛かる。
殺陣は初体験だが、刀の扱いについてはそれなりだ。
時代劇にありがちな、切り結びを荒木と共に行う。
正面からお互い突っ込み、一瞬の接触の後に立ち位置を逆にする演出だ。
この後、間を置いてどちらかが倒れるのが通説である。現実的に考えたらほぼあり得ないが、フィクションに現実を求めるのも野暮というものだろう。
「う……」
想像通り、荒木が膝から崩れ落ちる。
実際に怪異ごと斬ったから当たり前と言えば当たり前だが。
荒木の刀は僕の脇腹を掠っているだけで済んでいた。
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