27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/29(木) 20:09:09.23 ID:jPxrNCQ30
良し、これで――。
「う、あ……あ、ああぁ……!」
「戻らない……!?」
一度は倒れた荒木が再び立ち上がる。
いや、立ち上がるという表現は正しくない。
文字通り、意識のない人間を後ろから無理やり動かしているような様相だ。
首は座っておらず、両腕にも刀を握る以外の意図は見えず、辛うじて足だけでその場に立っている――そう、喩えるのなら、下手な操り人形の動きに近い。
その荒木にまとわり付く文字の羅列が、次第にその時代の服装へ、荒木の茶色がかった髪色も黒へと変化して行く。
文字が更に忠実な再現を求めていた。
「何でだ……ストーリーが間違っていたのか!?」
「プロデューサーさん」
鷺沢が、僕の名前を呼んで視線を寄越す。
その前髪に隠れた瞳からは、任せてくれ、と強く静かな意志が伝わってくるように見えた。
「鷺沢、何を――」
「あ、う……うう……あぁ……!」
「……比奈さん」
物語を『構築』している最中の荒木を、鷺沢は包み込むように抱き締めた。
無論、背紙魚が鷺沢の身体をも侵食し始める。
「くっ、う……!」
「鷺沢!!」
荒木と同じくして、鷺沢の首元まで文字列が迫る。
僕が止める意志さえ忘れる程の凄まじい鷺沢の行動に呆然とする中、鷺沢は荒木を愛しい我が子のように胸にかき抱いた。
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