過去ログ - メカクレ傾城書店員鷺沢文香『失伝した地方祭事の再現に関する研究』 -SS速報VIP

過去ログ - メカクレ傾城書店員鷺沢文香『失伝した地方祭事の再現に関する研究』

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55: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 21:32:40.79 ID:PF1tdIG6o
「まだだ！　はじめの巨岩信仰はどうした！　鳥居を見ただろう、精霊信仰は寺社建築伝来以後も続いている！」

「絶えました」

「尽きましてー」

56: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 21:49:54.09 ID:PF1tdIG6o
「鬼を倒すのが雨乞いなんじゃない。鬼を倒して雨乞いをするんだな？」

「その通りです。鬼がいたから、秘祭が執り行えなかった」

「不運なことに、鬼が流れ着いてから日照りが始まってしまった」

57: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 21:55:57.15 ID:PF1tdIG6o
「最初の質問に、まだ答えていないぞ」

きっ、と見据える。

「何も嘘などついていないと言うつもりか。覆い隠して。口を閉ざし、記録を伏して！」

58: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 22:17:29.52 ID:PF1tdIG6o
「今、巫覡が神降ろしをしたところで、伝統儀礼以上の意味を持ちません。

　グロソラリアは神的存在からの言葉ではなく、今や単なる譫言でしか、ありません……」

「……」

59: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 22:25:54.18 ID:PF1tdIG6o
「私は……私は……科学者だ……!!」

諸手で顔を覆い、悲痛な声を絞り出す。

「なんで……っ……」

60: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/16(月) 22:32:39.66 ID:PF1tdIG6o
芳乃が岩の上にひょいと立ち上がると、下からは見えないところへ姿を消す。

そして、ひょこっ、と文香の隣に顔を出した。

「帰りましょう。船が来ますゆえー」

61: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/16(月) 22:34:00.10 ID:PF1tdIG6o
卜部神道の実在を疑うというのは相当な過激派ではあります。

次で完結したい

62: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:02:43.68 ID:kZtDyWm/o
5.

見送りも終わり、静けさの戻った港で船を待つ。

西の空に渦巻いていた暗雲は晴れ、海は澄み渡り凪いでいた。

63: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:15:42.54 ID:kZtDyWm/o
「私が記せば、……イベント、あえてそう言いますけれど、イベントの規模からして、容易に人の記憶に焼きついたでしょう」

晶葉はむすっとしながらも、眉を顰めてくりくりした瞳で文香を見つめる。

「『海に閉ざされた孤島の』『秘祭に隠された真実の』『そこに影を落とす、太古の信仰』として」

64: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:43:14.33 ID:kZtDyWm/o
「……文香」

「なんでしょう」

「芳乃とは、どういう関係なんだ」

65: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:47:58.90 ID:kZtDyWm/o
「んふふん」

志希がこらえきれずに笑いを漏らす。

「……ごめん、ごめんって。にゃふふふ……謝るからさ」

66: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:50:49.87 ID:kZtDyWm/o
「君」

「はい」

一度言葉を切る。

67: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 21:54:12.53 ID:kZtDyWm/o
「ひとをお探しですね、と、言いまして」

「そなたが求めるがために、芳乃はここに在りまして」

ゆるりと笑みを和らげて、一歩、とん、と水面へ踏み出でる。

68: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 22:00:19.94 ID:kZtDyWm/o
凪いだ海を往く船の中で、笑いを含んだ声がする。

「……ね、言ったとおり……」

「まさしくまさしく、ほおっておけない運気が……しかし心地の良い、ものでありましてー」

69: ◆3feiQFueVc[sage]
2014/06/25(水) 22:05:06.26 ID:kZtDyWm/o
「んふ。くっふふふふ……」

「……お前。ちょっと笑いすぎだぞ」

「いや。にゃふふ……ごめんって。ｾﾝﾊﾟｲが告白する中学生みたいなことするもんだから……可愛くて」

70: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/25(水) 22:08:01.26 ID:kZtDyWm/o
ビールの缶を枕元に、寝転がった早苗がふと思い出したように。

「……そういえば」

「どしたん？」

71: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/25(水) 22:19:07.85 ID:kZtDyWm/o
文香と早苗は、鹿児島空港から別行動となった。

「彼女たちは、県庁に表敬訪問をしてから戻ってくる」

「ふーん。実に手際の良い旅程だね」

72: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/25(水) 22:24:20.86 ID:kZtDyWm/o
「只今」

揃って白衣の少女が二人、加えて和服の少女が一人。

「お帰りなさい、晶葉ちゃん。志希ちゃん……増えてる」

73: ◆3feiQFueVc[saga]
2014/06/25(水) 22:28:43.68 ID:kZtDyWm/o
おしまい。終わり。

続き物になってしまったので、ちょっと筋をラノベっぽく。

時間かかりすぎた。反省。

74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/25(水) 23:46:13.81 ID:vBBfMMfoO
ミステリアス？
乙
また読みたい
今度はこずえ主役にできないかな

75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/26(木) 07:25:19.14 ID:rfQTKLdAO
ミステリーだね
乙乙

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