過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/15(月) 22:16:13.04 ID:E6QKXXWS0
教師は母親をはっきりと見返した。襟を締め上げる母親の指に手を添え、訊かなければならないことを質した。

教師「『他に選択肢がなかった』。本当はどうしたかったのですか?」

「キ、キミ!」と咎めるような声を出す教頭たちを無視して、教師は母親を見つめた。
母親は、「え……」と吐息を漏らしたきり微動だにしない。多少息苦しかったが、構わず教師は続ける。

教師「あなたは彼女の世話をほとんどしていない。食事の用意も勉学についての相談も何もかも放任だ。でも、それはあなたの望みではない」

母親の凍りついた瞳に、教師は自分の言葉が正しいという確信を得た。

教師「あなたはずっと、彼女の母親として恥ずかしくない家庭を築きたかったのではありませんか? 仲睦まじい母娘、満ち足りた幸福な家庭生活、――しかしあなたの望みは叶わなかった。どうしてです?」

少女母「それは……」

両目を大きく見開いて、母親は黙り込んだ。教師の襟首を掴む力は強まったがその腕は震え、教師を慄然とさせた煮えたぎる怒気が衰えていた。そうして不意につぶやく。

少女母「そんなことできるわけないじゃない……? あたしはあの子のお母さんなのに、あたししかいないのに、なのに、あたしは……」

母親はぽつりぽつりと言葉をこぼした。その、迷子の子供のような頼りなげな表情に、母親が今まで抱えてきた苦悩の跡を見た気がした。
母親であろうとしてあれない、理想と現実の狭間で一歩も前に進めなくなっている。教師たちへの異常な攻撃性は、現状への苛立ちと自分への憤りの裏返しだったらしかった。



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