過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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313:名無しNIPPER[saga]
2015/07/20(月) 22:57:33.32 ID:h8Vc4E0V0
実際のところ、私がなにか手を下したわけではなかった。クラスメイトに対して先生に邪険に接しろと指示したこともないし、私が教員たちに先生外しをさせたこともない。
そもそも私は他人とは必要最低限以下の付き合いしかなかったから、そんなことが出来るはずがないのだが。

でも、おそらくだが、私には先生が学校から追放されるのを未然に防げたと思う。余計な手づるは必要ない、ただ一言、私がやめろと言いさえすれば、あの人達は私の言葉に従わざるをえないのだから。

私は、私自身が特別であることを知っている。私が自意識を獲得した瞬間から、私は自分に注がれる眼差しの意味を理解していた。
下卑た本性を隠さない彼らは、人ではなく、風景の一部だと悟った。こちらから無闇に刺激しなければ、彼らはこちらに近寄らない。それでいいのだと思っていた。

先生は違った。先生は小説などで見かけるような普通の人のように見えた。クラスの生徒のひとりとして私を扱ってくれたし、先生自身もまた、教師として私に接してくれた。
そして、そうしようとしない周りの人々に戸惑い、苛立っていた。

だから興味を持ったのだ。「どうしてこの人は普通の女の子に接するように私に接するのだろう」「どうしてこの人は私のために心を砕いてくれるのだろう」――と。

それから私は、事あるごとに先生に相談することにした。どんな些細な事でも先生と関わりになることなら利用した。それ自体はどうということはなくても、先生に話しかける口実になりさえすればよかった。

それでわかったのは、先生がとても誠実な人であるということだった。先生が私を気にかけてくれたのは、私の置かれた状況が非常に特殊だったからだ。事実、私に関係のないところでも、先生はよく他の生徒の相談に乗っていて、頼りにされているようだった。

そういう時、私は胸が痛くなる。心臓のあたりがきゅっと苦しくなって、先生にこちらに気付いてほしいのに、見られるのが恥ずかしくなって、その場から逃げ出したくなってしまう。そんな、自分でもよく分からない気持ちを持て余した。



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