過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/06(日) 05:16:43.13 ID:OYnXFm4T0
少女「……。はい」

少女は不快げに眉をひそめた。苦々しいものを飲み下すような表情を意外に思う。同時に何があったのか気になった。
教師の知る限りこの少女は、精巧に作られた陶器の人形のような無表情か、目を伏せた憂い顔か――教師にだけ向けるかすかな微笑みのみを感情表現としていたのだが。

少女の肩が強張っている。膝に伸びた手はテーブルに隠れて見えないが、きっと拳が固く握られ、ただでさえ白い手からさらに血の気が引いていることだろう。

ここで少女の過去を訊き出すべきかどうか、迷う。理解が及ばないにしても、同じ人である以上、何を訊かれても傷付かないということはないはずだった。
いや、考えるまでもなく、無理に過去をほじくり返すよりも、これからについて目を向けたほうがよい。
そのうち、機が熟せば自分から話してくれるだろうか、という淡い期待もあった。

教師「嫌なことを思い出させたなら謝る。すまなかった」

少しきまりが悪くて、少女が返事をする前に続ける。

教師「お前の母親の行動は、子供を保護し、監督するべき義務を怠っているものだ。これは広義の児童虐待にあたるもので、私は児童相談所か、市町村の所定の福祉事務所に通報する義務がある」

少女はまっすぐ教師を見つめる。ひたむきな視線にたじろぐ自分を確かに認めた。
不憫な娘だと思う。美貌といえば聞こえがいいが、度を超えて完成された美は容易に人を狂わせる。
少女がこれまで辿ってきた道筋と、これからの運命を思った。



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