過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4
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25:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 04:01:12.20 ID:igNzDGpD0
「――――なッ!」

失策を悟る間すら与えられず、手の甲の血管が数珠状に膨らみ、破裂した。
跳ねた血飛沫がステイルの顔に赤い筋を作る。

「……痛ぅ! あ、んの馬鹿がっ! あれほど念押ししたのに暴走しやがったのかッ!」

痛んだ手を無事なほうの手で押さえながらステイルが毒づいた。
そうしている間にもイノケンティウスの炎がみるみる萎んでいく。
質量が極端に収縮しているにもかかわらず、結界内の魔力の総和量に変化はない。
禁書の魔力が飽和状態となり、
幻想殺しと魔女狩りの王で緩和できる範囲をも超えてしまっているのだ。
このままでは部屋どころか、施設もろとも爆炎に呑まれかねない。
垣間見た最悪の光景をすぐさま頭から叩き出し、次善の策を練り始めた矢先――

「ステイル、何かあったの!? 今尋常じゃない魔力波が――」

「……ッ! こっちに来るな、インデックス!」

階段を駆け下りてきた修道服の少女を見止め、ステイルが血みどろの手で制した。
束の間、インデックスが渦を巻いて荒れ狂う炎の魔人に見入った。

「何、これ。いったい――――その手、どうしたの!? 怪我してるの!?」

「ヤツとリンクしている刻印から膨大な魔力が流入してきている! ……まだ、どうにか持ちこたえられているが」

ステイルが口を結び、先ほどよりも強い念を具現化された炎の魔人に投じた。
束の間炎が勢いを取り戻しかけたに見えたが、すぐに半分ほどの大きさに縮んでしまう。

「……くっ、やはり今のままでは。あのド素人が、あくまで制御を渡さない気だな」

炎から伝わってくるのは異様なまでの拒否感。
この状態が長く続けば術者たる上条は狂人に、そして遠からず廃人になる。
呪いを肩代わりしている自分の身とてただでは済まないだろう。


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