過去ログ - 浅羽「伊里野、夏がまた来たよ……」
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8: ◆KY37nCVzmZ2g[sage]
2014/06/10(火) 07:14:44.56 ID:uD0LiOOq0
「……ちょっと待ってください」
榎本がこうまでして僕に伝えたい事、そんなの、伊里野の事に決まってる。
というか、校長の話で気づくべきだったんだ。
伊里野は、園原の近くで死んだ。
どこか知らない海の上でもなく、果てしない空の彼方でもなくて……伊里野は最期、ここまで戻ってきてそして死んだんだ。
戻ってきたのがいつかはわからない。
もしかしたら、闘ってふらふらになりながら、長い時間をかけて戻ってきたのかもしれない。
だったら――。
「ご馳走さん。浅羽、下手くそなミステリーサークル作る暇があったらしっかり前に歩きやがれ」
「そうですか……良かった」
榎本は僕にゴミを押し付けると、さっさと降りてしまった。
僕も慌てて梯子をおり、榎本に押し付けられたゴミをどうしようかと一瞬考えた。
早くしないと榎本はいなくなってしまう確信があったので、あとで昌穂と部長には謝るとして、無造作に部室に放り込んだ。
「待ってくださいッ!僕も行く……連れてけ」
僕がそういうと、榎本はニヤリと笑いながらゆっくり振り向いた。
夏ももう終わりだというのに、まだまだ暑くて、蝉の声がすごくうるさくて、でも伊里野がいた夏の匂いが今更だけど、少しだけ強くなった気がした。
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