2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/13(金) 23:03:41.97 ID:2DGnVtPno
時は、十月の終わり。
秋の心地よい空気が、学校中から溢れ出し、街全体、広くはこの国全域を包み込んでいた。
開け放たれた窓の向こうから、部活動に勤しむ生徒たちや、野生を生きる鳥や虫
そんな無数の生命の営みが、ざわめきやせせらぎとなって、室内に流れ込んでくる。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/13(金) 23:04:16.88 ID:2DGnVtPno
「なんだ、エッチな動画とかじゃないんだ」
学校の備品でエッチな動画を見る馬鹿がいるものか。
仮にいたとしても、自分のほかに四人もの人間がいるこの空間で、そんな荒業をやってのける奴などいるはずもない。
いたとしたら一度会ってみたいもの……いや、訂正しよう。会って見たいとも思わない。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/13(金) 23:05:07.04 ID:2DGnVtPno
「ハルヒなら掃除当番だ」
「知ってるわよ、同じクラスなんだから。でも、それにしても遅いじゃない。
いつもの涼宮さんなら、掃除当番なんて光の速さで終わらせて、部室にやってくるのに」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:05:45.60 ID:2DGnVtPno
「長門さん」
口を挟んだのは、団員その四。碁盤を見つめていた眼で、窓辺の長門を射抜いている、超能力者・古泉一樹。
長門は、す。と視線を古泉に合わせると、ゆっくりと目を閉じ、二回、首を横に振った。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:07:07.60 ID:2DGnVtPno
「ご心配なく、ほんのわずかに、です。一般的に、人が時折抱え込む程度の規模の疲労ですよ。
このところ、就寝時間が遅めなようです。おそらく、軽い寝不足かなにかでしょう。」
寝不足。俺はその言葉を空中に浮かべ、しばらく眺め回してみる。
涼宮ハルヒという人間が、単なる寝不足などで、おとなしくなってしまうものなのだろうか。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:07:47.22 ID:2DGnVtPno
その日。ハルヒが部室にやってくることはなかった……なんてことはない。
いつもよりも小一時間も遅い登場だったが、ハルヒは俺たちの前に、ちゃんと姿を現した。
しかし、その姿はなんというべきか……
普段のハルヒと比べてみるならば、最盛期のアトラスと現在のアトラスを見比べているかのようで……
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:08:18.72 ID:2DGnVtPno
………
「ここは……」
浅く、網目の細かい眠りと、ぼやけた現実の間を漂っているような、奇妙な感覚がして、俺は目覚めた。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:08:57.12 ID:2DGnVtPno
「なっ……!?」
遮るように……聞こえたのは、男か、女か、判断に困るような、甲高い叫び声だった。
そして、その声がした直後、全身が粟立つかのような感覚に襲われ、俺は立ち上がり、飛び退いた。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:09:23.17 ID:2DGnVtPno
「クマァッ!!」
髑髏から伸びた触手がわずかに縮み、再び俺へと放たれようとしている―――次の瞬間、目の前のその光景に、不似合いな何かが飛び込んできた!!
同時に、叫び声……いや、鳴き声? ともかく、その何か―――髑髏の怪物と同程度の大きさの、物体だ―――が、俺の視界の右端から現れ、髑髏を弾き飛ばした!
ガランガランとけたたましい音を上げながら、髑髏が地上を転がり、吹き飛んでゆく。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:09:49.73 ID:2DGnVtPno
「あ、ありがとリセチャン。クマ、ちょっとガンバった……」
少女の手を借りて体を起こしたクマ(仮)が、頭を左右に振りながら、その名前を口にする。
あ、そうだ……この少女は。
メガネのせいで、一瞬はわからなかったが……一度思い出せば、確実だ。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/13(金) 23:10:25.16 ID:2DGnVtPno
「あ、それより、キミ、何でこんなとこでおネンネしとったんか教えんしゃい!
……モシヤ。キミがクマの世界と、このヘンテコな世界を繋げた張本人クマ!?」
「ちょっと、クマってば! あんた、ただでさえワケわかんない存在なんだから、もうちょっと控えなさいって!!」
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