過去ログ - 姉「でも、自分がいる場所を失ってしまうこともあるかもしれない」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/14(土) 21:50:55.14 ID:izjnFaTMo

「嘘じゃないって、あの三人に訊いてみてよ。
わたしは嘘をつかないことで有名なんだよ」

「嘘をつかないことで有名っていうのが嘘だったりするんじゃないの?」

「ろんちゃんは疑り深い性格」江良さんは言う。「ろんちゃんの家って、ここから近いの?」

「ちょっと遠いかな」

「じゃあどうしてわざわざこの公園に?」

「できるだけ家からは離れていたいから」

江良さんは水筒を鞄にしまう。「それは、そのあざと何か関係がある?」

俺はうなずいた。それから、言ってしまってよかったのだろうかとすこし後悔した。

「また明日」と江良さんは言い残して、軽やかな足取りで公園を出て行った。

一五分くらい経ってから俺もベンチから腰を上げて、帰路についた。
橙色に染まる町の中をひとりで歩くのは、
さみしくもあったけど、なかなか悪くない気分だった。

ここはいい町だ、と俺は思った。でも、あの家だけはどうしても好きになれない。



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