32: ◆cua46o7hQE[saga]
2014/06/19(木) 22:41:06.30 ID:S1wH7fTAO
それは年端も行かない女の子だった。
久「貴女、こんなところでどうしたの?」
怯えさせないよう、出来るだけ柔らかく優しい声音で語りかけることに努める。
「あ、あの……」
だって、まるで今にも泣いてしまいそうで。
泣いてしまえば、薄い氷か硝子のようにひび割れて粉々になってしまいそうだったから
「こ、これ」
差し出されたその手には、紙切れが1枚しっかりと握り締められていた。
震えて固まった指を1本1本丁寧に解いていき、取り上げて、内容に注目する。
そこには『この子をお願いします』とだけ綴られていた。
久「なによ。それ」
後ろを振り返り智葉と白望を見るが、2人は何も合図をくれずただ私の動向を眺めていた。
どうするかは私が決めろ。きっとそういう意味だ。
前に向き直り、深呼吸を1つ。
苛立ちを払い、頭を冷まして。
膝を折り、頭の位置を小さな彼女に合わせた。
久「私は久、貴女のお名前は?」
「え、ぅ。……さき、みやながさき」
久「そう、サキ。綺麗な響き、良い名前ね」
久「これから宜しくね。サキ」
305Res/177.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。