40: ◆cua46o7hQE[saga]
2014/06/22(日) 21:54:55.07 ID:ZfUIx1mAO
それから3ぴーすの中でサキにここへ至るまでの経緯を聞こうとしたが、衰弱しきっていたらしくふと目を離した隙に彼女は眠り転けてしまった。
考えてみれば当然か。
最短でも今朝からついさっきまでのほぼ1日、何処へ行けば良いのかも分からず外を彷徨っていれば疲れ果てるしかない。
それも彼女のような幼い子供なら尚更だ。
サキ「すぅ……すぅ……」
ソファの上、私の膝を枕にして眠るサキ。
私は髪を梳くように彼女の頭を撫でながら、ぼんやりとその寝顔を眺めている。
規則正しい寝息は心地よく鼓膜を揺らし、感情の澱を濯いでいく。
智葉「久」
久「なに?」
ソファの後方、智葉は普段食卓を囲む椅子に座っている。
私と智葉は背中で向かい合い、互いの顔を見ないまま言葉を交わす。
智葉「おまえの決めたことだ。文句は付けないし、人として正しい決断だと思う」
久「うん」
智葉「ただ、他人を養う、面倒を見る、それも飯と寝床を与えれるだけでは生きていけない子供を。どれだけ大変なことか想像できるか?」
久「そんなの分かる訳ないわ。やったことないもの」
智葉「そうだな、その通りだ。……だが、今の話を聞いて少しでも怖じ気付いたり迷ったのなら止めた方が良い。きっとサキの人生を滅茶苦茶にしてしまう」
その言葉の1つ1つが私を試す。
敢えて私の不安を煽り、けれど決して大袈裟に言っている訳でもない。
───智葉が突き付けているのは、単なる事実でしかない。
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