23: ◆dINyckyVoNyT
2014/06/24(火) 21:52:29.75 ID:knTQOT9o0
義姉の告白……のようなものを受けて、一週間ほど経った。
俺は何も答えが出せないまま、話はうやむやになってしまった。
義姉との関係は悪くなる事もなく、前と同じような感覚で接する事が出来ている。
どちらかが実際にあった事として意識してしまっていれば、このように元に戻る事は出来なかったと思う。
お互いになかった事として、あのときの事には触れないようにしている。
しかし、俺の記憶にはしっかりと刻み込まれている。
あの口の中がとろけていくような感覚も、流れに身を任せていってしまう感覚も、心臓が痛いほど動く感覚も、全部。
男だったらその場の雰囲気と勢いで流されるように行動する事も必要になると思うが、それで痛い目にあってからでは遅い。
俺も好きだからこそ、最善の行動はしておきたい。
……ドアがノックされる音が聞こえる。
「何?」
「レポート書くのに行き詰まったから休憩しにきた」
「そっか。でも俺何も持ってないから息抜きなんてできないと思うんだけど?」
「いーのいーの」
「ふーん……」
休憩というのなら、もっと自分の好きな事とかすればまともな休憩になると思うのに。
義姉は特に何をするでもなく、カーペットに座ってぼーっとしているだけだった。
俺もすることがないから自分のベッドの上で寝転がって、天井を見るか、時々義姉が何をしているのか少し目線を向けるぐらいの事しかしていない。
義姉に対するこの感情はいつの間に作り上げられたのだろうか。
出会った時?いいや、ただ家族になる人間として目の前に現れただけ。
一緒に生活してから?いいや、それもただ家族として過ごしただけ。
おそらく……人間として、憧れてしまった時か。
「あー、眠たくなってきた。レポート明日にしようかな」
どこに憧れたんだろうか……。
「寝たら駄目だろ」
「……ごめん、三十分したら起こしてくれない?」
「はぁ?」
そういうとカーペットの上でそのまま横になる。
「少しすっきりしないとまとまる物もまとまらないし、ね?ちょっとだけ」
「自分の部屋で寝ろよ」
「…………」
ちょっとだけ、というと義姉はすぐに目を閉じて動かなくなった。
おいおい、なんで俺の部屋で寝ようとするんだよ……と呆れたような目線を向けていたが、次第に小さく呼吸音が聞こえ出した。
俺は小さくため息をつくとベッドから立ち上がり、少しでも寝やすいように部屋の電気を消した。
三十分だ。それでもさらに寝ようとしたら追い出そう。
そう心に決めて、ベッドに腰掛けて、暗い部屋の中でジッとしたままでいる。
本当に何もする事がなくなった俺は、壁を見ているだけ。
ここで意識をしてしまったら、正直何をしでかすか分かったもんじゃあない。
もしも、それを義姉が望んでいたとしても、俺は弟として間違いを犯すわけにはいかない。
へたれじゃあない。何もかも姉弟だという壁が、俺の心を阻み続けている。
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