24: ◆dINyckyVoNyT
2014/06/26(木) 23:48:17.11 ID:TxuPtidr0
壁を取り払うのも……と考えない事もないが、一度壊した物は元のようには戻せない。
今の部屋のように真っ暗で、何も見えない状態から明るく、綺麗な景色を見てしまったら、もう一度見たいと思うのも人間の心理だ。
それが手軽であれば手軽であるほど、どんどん深みに嵌っていってしまうから恐ろしい。
そろそろ暗闇に目が慣れてきてしまった。
義姉の体の輪郭がうっすらと浮かび上がっているように見える。
このままだと義姉に近づいて、何をしでかすか自分でも分からない。
ほら、今にも俺の体はベッドから降りて、義姉に近づいていって……小さく寝息を立てる義姉の手をゆっくりと……。
「…………」
やっぱり自分じゃない人間が何を考えてるのかなんて分かるわけがない。
例え本心を打ち明けてくれたとしても、それが本当なのか確実に調べる方法もない。
いっその事もう一度キスでもしてみるか?
口の中の甘さがゆっくりととろけていく、あの時の記憶が鮮明に浮かび上がる。
あの時感じたのは、悪い事をしているという罪悪感、背徳感。
どうやらそれと一緒に、気持ちよくなって頭がパーになる麻薬のようなものも感じていた。
一度手を出したら、自力では決して戻れない。
戻れない、戻れない、戻れない。
もうあんな事をしては駄目だという事は理解してる。
それなのに、いつもなら俺の行動を止めるはずのリミッターが、どこかに行ってしまっていた。
考える頭ではそれ以上は進んではいけないと分かってる。考えの働かない奥底で、求め、望んでしまっている。
「………」
ああ、降りてしまった。いいのか?ここで間違ってしまえば苦しい思いをするのは俺だけじゃあなく、家族だ。
今はいいかもしれない、この瞬間はそうでよかったと思えるかもしれない。
この先を考えろ。
俺の足は、意識とは別に一歩一歩音を立てずに前に出る。
自分が意識しない所から襲ってくる、忍び寄る悪意を持った影のように、一歩一歩、確実に。
「…………ん」
心臓の音が聞こえる。
実際そんな事はないのだろうが、頭全体を震わせるように欲望と理性と血液が流れる。
さぁ、手を伸ばせばもうすぐそこに義姉の体はある。
頭に昇った血が、考えを鈍らせて本能を加速させていく。
もう追いつけない。
全部止まってしまえば、少しでも考える時間はあるはずなのに……今の、十分な幸せを壊してまで、手に入れたい物なのか?
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