7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/20(金) 23:09:18.24 ID:e5IvpnBoo
P「話を一つ。心霊スポットのトンネルの話。
ある夏のこと。大学生の青年が仲間達と夏の計画を立てていた。旅行。花火。海。山。
候補は色々あるがなかなか決まらず、計画は難航していた。そのとき、仲間の一人がこう言った。
「肝試しってどうだ?」
話を聞くと、ここから車で二時間ほど行った場所に幽霊が出ると噂されるトンネルがあると
いう。車ならば仲間に持っている奴がいるし、何よりもお金はかからない。女の子と行けば
盛り上がるかもしれない。そう考えた青年達は何人かの女の子を誘って、早速行く事にした。
当日。男三女二で陽が沈んでから出発した。もしも嫌がられたらカラオケとかでも行くかと
思っていたが女の子達も結構乗る気で、向かう車中ではそのトンネルの怪談話で盛り上が
った。あと三十分くらいかというところで女の子が一人がこう言った。
「私、霊感とかないんだけどちゃんとわかるのかな?」
それを聞いた四人が口を揃えてこう返す。自分達もないと。じゃあ幽霊には会えないかもね
と到着まで和みムードは続いた。
そのトンネルは車の通りは少ないが入る事は出来るので青年達はそのまま車で中に入る
ことにした。だが入る直前に青年の一人が
「中で何かあったらバックで逃げなきゃいけないし、バックで入ったほうがよくない?」
と提案した。確かにその青年の言うとおり、トンネルは車二台がどうにかスレ違える程度
の幅しかなく、灯りも心なしか薄暗いのでUターンは難しい。そのまま直進してトンネルを
抜ける方法もあるが、そこから地元に帰るのは結構な遠回りになるので出来ればやりたくない。
運転手はトンネル前で切りかえして、バックで侵入した。
トンネルに侵入すると、わいわいしていた車内もさすがに静かになった。
薄暗い明りや、どこからか聞こえる水の落ちる音が雰囲気を変えた。
だけど上から何か降って来るだとか妙な声が聞こえるとか手形が付くということもなく、
呆気なく車はトンネルの中ほどまで来た。ここでクラクションを三回鳴らすと恐怖体験を
するという。運転手の青年は躊躇うことなく三回、長めにクラクションを鳴らす。トンネルの
内部で音が少し反響し、やがて静かになった。車内の人間が息を飲んで、周りを見渡す。
十分後。青年達は何事もなく、トンネルを後にした、
何もなかったねとみんなが残念そうに語る。このまま地元まで帰ってカラオケでも行こう
かという話になり、車を急がせる。やっぱり霊感ないとだめなのかなーとまた来た時と同
じように和みムードになり始めた。そう、その時だった。夜の空に響く、人の声が聞こえたのだ。
パトカーだった。路肩に止めなさいとマイクで言われる。スピードの出しすぎだったのだろうか
と路肩に寄せる。その時、青年の一人がハッとした表情で言った。
「もしかして恐怖体験ってパトカーに捕まるってことか?」
確かに心霊スポットということで人も来るだろうし、中には迷惑行為を働く輩もいるだろう。
だから警察が近くを巡回しているってことも十分にありえる。実際にトンネルで何事もなかった
ので車内でそれに反論する人はいなかった。
やがて車は止まり、後ろから警官がやってくる。運転手は窓を開けて、警官に話しかけようとした。
しかしそれよりも先に警官が慌てた様子で運転手に怒鳴りつける。
「車の屋根に乗っていた女の子はどこにいった!」
以上」
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