過去ログ - P「律子の淹れるコーヒーはすげー苦い」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 09:55:15.42 ID:7b2UHG2Go
 一人になりたかった。俺は断りなくデスクを立って、事務所を出た。
階段を上って、屋上に続くドアを開けると湿った空気とコンクリートの匂い。

 後ろ手にドアを閉める。霧雨がしとしとと髪や肩に落ちてきた。
 泣きたくなった。泣けば、涙は霧雨に溶けてこの星に落ちて行くような気がした。

 遠くのビルは白くぼやけていた。遠くのビルから見れば、俺の居るこの場所も白くぼやけているんだろう。

 ぼやけているのは、霧雨のせいだけじゃなかった。俺の目に涙が溜まり始めていた。
ぼやけた風景が、さらに滲んだ。もう、俺に見えるのは白と灰の水彩画だけだった。

 涙を拭ってから顔を上げると、すぐそばに傘を持つ白い手が見えた。

 律子、と呼びかけると、傘の持ち主は短く溜息をついた。


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