過去ログ - 【PSYREN】ほむら「暴王の月」【まどマギ】
1- 20
2: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/06/26(木) 01:14:38.87 ID:FsYyZ0AYo

 最も、ここで発動するのは魔法、ではない。
 魔法とは別種の人体に眠る奇異なる力。
 それは『PSI』と呼ばれる力。そして、それを扱う能力者は『サイキッカー』と呼ばれる。


 空間が軋み、見えない何かがその場を圧迫する。
 そして、顕在。
 恐れるほどに流麗で、凍てつくほどに漆黒な、正確無比の球が顕現した。


 漆黒の球は瞬間的に宙に静止したかと思うと、爆発的な速力をもって私を中心に公転しだした。
 その様はまさに破壊の権化、暴力の王だった。


 漆黒の球はぶつかった地面を塵も残さずに抉り取る。
 そして、そのまま六メートルほども地面を掘り進んで、ようやく活動限界を迎えた。
 ピタリ、と動きを止めると球体の中から一本の枝が伸びる。
 それは真っ直ぐ直線で十メートルほど伸びる。恐らくその延長上に襲撃者がいるのだろうが、
その枝は十メートル付近で膨張限界に達し瓦解した。
 それと同時に、漆黒の球もまた、瓦解する。


 私は六メートルもの巨大な縦穴から三角跳びで抜け出してあたりの惨状を確認する。
 もう幾度も目にしたその光景は、やはり凄惨で、残酷だった。
 見滝原総合病院があったはずの場所は、もはやただの瓦礫の塊と化していた。

 上空を目視すると、百メートルほど先に南側を向いた男の後ろ姿が目に映った。

「W.I.S.E.……ッ!」

 奥歯を噛み締め、血が滲むほど拳を握る。
 私は、ただ男の背中を睨みつけながら瓦礫に身を隠して息を潜める。

 
 男の姿が、すぅっ、っと遠くへと消えるのを確認して私はため息をついた。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
178Res/163.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice