1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 12:34:58.12 ID:AUSAwYQ7o
私は鳥が好きだ。
籠に入れて飼うとかそんなんじゃなくて、空を自由に飛び回る鳥が。
あんまり覚えていないけれど、あの日も鳥を眺めながら歩いていた気がする。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 12:37:51.94 ID:AUSAwYQ7o
気付けば私は、病院のベッドの上だった。
何が起きたのか分からない私に、お医者さんがやってきて教えてくれた。
生きているのが奇跡だったらしい。
そんなこと突然言われたって分からない。
お医者さんの方へ詰め寄ろうとして、ベッドから落ちる私。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 13:00:24.41 ID:AUSAwYQ7o
しばらくして彼が、病室に来た。
久しぶりに鼻に、絆創膏を付けている。
母親から聞いたが、私を助けてくれたのも彼で、私の事を聞いてお医者さんに殴りかかったのも彼らしい。
そういえば確かに、お医者さんの眼鏡が割れていた気がする。
口下手な彼の口数が今日は妙に多くて、私を励まそうとしてくれているのが感じ取れた。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 13:02:25.97 ID:AUSAwYQ7o
今日、窓際に鳥が飛んできた。
触れようと手を伸ばすと、ひらりと躱して再び飛び上がってしまう。
その背中が見えなくなるまで見つめて、私は小さく溜息を吐いた。
まるで今の私は鳥籠の鳥だ。
そんな私を見て鳥も可哀想だと思ったのだろうか?
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 13:11:34.24 ID:AUSAwYQ7o
こうずっと味気ない食事が続くと、うんざりしてくる。
体に不調はあまり感じないのだからなおさらだ。
あなたの足は付いている、だが動いてくれない。
いっその事無くなってしまっていれば、余計な希望なんて持たなくてすんだのに。
口が裂けてもこんな事、両親には言えないけれど、彼は黙って聞いてくれた。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 13:24:42.32 ID:AUSAwYQ7o
久しぶりに肌で感じる、風の感触。
屋上へ来れるようになるまでどのぐらいの期間がかかっただろう?
数日だったかもしれないし、もう年単位で時間が過ぎたかもしれない。
でも今はそんなことより、この感触を楽しみたい。
付きあわせちゃ悪いし後は自分で戻れるから、と彼に言う。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/26(木) 13:32:44.78 ID:AUSAwYQ7o
今日、私の知らない人が病室に来た。
私がこうなってしまう原因となった事故、その事故を起こした会社の社長さんだとかなんとか。
社長さんは涙ながらにあなたに土下座してきた。
テレビで見る政治家さんとかの謝罪とは違う、本気の謝罪。
そんなことをされても困る。
18Res/6.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。