過去ログ - 【ダンガンロンパ】苗木「ボクの恋人は>>2」
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201: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2015/06/10(水) 19:00:20.46 ID:eh80U7iK0
セレス 「わたくしがあなたを好きになったのは、あの勝負より前ですわ」

苗木 「そうだったんだ…」

 行為の後少し時間をおいて服を着て、紅茶を淹れた。今はそれを飲みながらセレスさんの話を聴いている。ボクのことをいつから好きだったのか。その答えを。

セレス 「はじめはただの時間潰しの相手にしか思っていませんでした。眼中にありません」

苗木 「そうだろうね……」

 それは解ってた。ボクのことは取るに足らない人間くらいにしか思われていないってことは。その自覚があるってのが切ないよな。

セレス 「ですが、あなたと勝負をして過ごす毎に、その時間が大切なモノのように思えてきて…あなたを想うことが増えました」

苗木 「何だか嬉しいなぁ。そう聞くと」

 あの勝負がなければ、ボクがセレスさんに告白することなんてなかったし、セレスさんの気持ちも知らないままになっていたのだろうなと考えると…本当にあの時のボクは幸運だったんだなと改めて思う。

セレス 「負けたことはショックですが、あなたに恋人になって欲しいと言われたとき、大変嬉しかったのですよ?」

セレス 「それだというのに…わたくしの気持ちを察することもできず、なかったことにしようだなんて愚かですわ」

苗木 「……ごめん」

 少しはデレがあれば、ボクだって気づく…と、思う…よ? でも、ボクだって色々考えた結果だったんだけどな……。

苗木 「でも今回のことでセレスさんの気持ちが知れて良かった。子供が欲しいって言われたのには驚いたけど…」

セレス 「そうでも言わなければ、あなたのような思慮の浅い鈍感な人間には伝わらないと思いましたので」

 あれ? おかしいな……ツンが戻ってきてるぞ?

セレス 「まあ、予定が早まっただけです。あなたの子を宿したいという願望は強くありましたので」

苗木 「そこまで想ってくれてるとは思わなかったよ……身体大丈夫?」

 互いにはじめてのことで無理をしていたりしたら大変だ。さっきまでのことを思い出して恥ずかしくなりながら、セレスさんの体調を伺う。

セレス 「ふふっ。心配には及びませんわ」

セレス 「あなたはわたくしへの気持ちを示し、残してくれたのですから」

 セレスさんはお腹に手を充てながら嬉しそうに笑った。今まで見てきた作られた笑顔ではなく、心からの笑顔。本当のセレスさんだと感じた。
 バカだな…ボク。こんなに想ってくれているセレスさんの気持ちに気づけなかったなんて。

苗木 「これからはキミの気持ちを汲めるように頑張るよ」

セレス 「ええ。そうしてください」

 さっきまでの笑顔が幻だったかのように消え、いつものポーカーフェイスに戻り、優雅に紅茶を口にしている。
 なんだか惜しいけど…でも、ボクがセレスさんの恋人である限り、またあの笑顔をみる機会はあるだろう……ある…よね?

苗木 「でも子供か……どうしたらいいのかな…この学園にいられるかって問題だけど…残れても大変だけど、残れなかった場合の生活はもっと大変だよなぁ……」

 これからのことを考えると、やっぱり不安はある。子供はいい。大歓迎だ。けど生活というか、生活費に関しては……バイトもしたことないボクが大黒柱にならなければならない。支えていけるだろうか? 今回ので妊娠するとも限らないけど……。

セレス 「あら。わたくしとの経緯を詳細に話せばよろしいではありませんか」

苗木 「んぇ?!」

セレス 「あなたは《超高校級の幸運》なのですから、わたくしとの勝負に幸運で勝ち、交際によりわたくしは幸運にも子を授かった…これは自分の才能によるモノだと言い張れば良いのですわ」

苗木 「……通用するかな……いくら才能を重視している学園とはいえ……」

セレス 「通用せずとも、期間はありますから。その間にわたくしがカモから巻き上げていけば」

 口の端を釣り上げて悪魔の様にセレスさんは笑う。

セレス 「生活は安泰ですわ」

苗木 「ははっ……心強いよ…」

セレス 「主夫、よろしくお願いしますわね」

苗木 「ああ…だよね……」

 素顔をみせず、人を振り回すような困った人ではあるけれど、これから先、彼女のことをもっと深く理解していければと思う。
 ボクと彼女の間にできるかもしれない命との未来のためにも頑張ろう。前向きなのがボクの取り柄だ。なんとかしてみせるぞ。

セレス 「苗木君。勝負をしましょう」

苗木 「いいよ。何をするの?」

 とりあえず今は、彼女との時間に集中しよう。《超高校級の幸運》なんて名ばかりな不運寄りのボクが手に入れた幸運…セレスさんを手放さないように。


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