37: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:54:00.90 ID:xpCfEu5V0
橋の前では、警官が誘導棒を振っていた。
小走りに近寄り、太郎は事の次第を確かめる。
「通れないんですか?」
38: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:55:17.85 ID:xpCfEu5V0
ここまで来て間に合わないのか?
太ももがパンパンになるほど自転車を走らせたではないか。
相撲部員に絡まれても猛然と立ち向かったではないか。
39: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:56:15.97 ID:xpCfEu5V0
嗚呼、帰りたくない。
このまま何処かへ行ってしまおうか。
2、3日姿をくらましてやろうか。
40: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:56:52.87 ID:xpCfEu5V0
太郎は交通整理している警官から離れ、ヘナヘナと土手に座り込んだ。
ぼうっとして空を仰ぐ。
白い雲が西から東へ、亀の歩みでたゆたっていた。
41: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:57:31.11 ID:xpCfEu5V0
続いて三角形の雲が視界に映る。スカートのようだ。
しばらくすると三角形の雲はだんだんと崩れ始め、ついには丸く姿を変えた。ショートヘアに見える。
そうだ、例の本で表紙を飾るグラビアアイドルだ。
42: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:58:34.10 ID:xpCfEu5V0
そうだ、友がいた。
出発前、友に全てを任せたではないか。
彼ならきっとやってくれる。
43: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:59:29.63 ID:xpCfEu5V0
健太のエロに賭ける情熱は、太郎のそれに引けを取らない。
二人はお互いにお互いを認め合う、唯一無二の盟友であった。
東にゴミ捨て場があれば行って猥本を探し出し、
44: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 19:00:15.55 ID:xpCfEu5V0
だが今の自分はどうだろう。
我が身の可愛さ一心に、魂の拠り所を手放そうとしているではないか。
我らの存在意義を否定しているではないか。
45: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 19:01:05.42 ID:xpCfEu5V0
改めて心に問う。
ここで全てを諦める気か?
答えは否。
46: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 19:01:58.06 ID:xpCfEu5V0
「行こう」
太郎は誰に言うでもなく呟き、橋の下へと降りていった。
警官に見つからないよう影に隠れ、ズボンを脱いでカバンに入れた。
47: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 19:03:56.26 ID:xpCfEu5V0
健太は太郎の母と一緒に部屋で待っていた。
どうせ使うのだからと、部屋の真ん中には小さなテーブルが出されている。
その上には冷えた麦茶が置かれ、
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