過去ログ - キリト「抗え、最後まで」
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33: ◆rNqPl/b1mU[saga]
2014/07/09(水) 23:46:40.18 ID:XwwQtEVw0


クライン「なんで……そもそもなんで、こんなことするんだ……!?」
 

俺はそれには答えず、横尾の言葉を待った。

数秒後、血の色に染まった空から、横尾の厳かとすら言える声が降り注いだ。



横尾『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私――DOD及びナーヴギア開発者の横尾太郎は、こんなことをしたのか? これは大規模なテロなのか? あるいは身代金目的の誘拐事件なのか? と』
 

そこで初めて、これまで一切の感情をうかがわせなかった横尾の声が、それを帯びた。


横尾『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、DODを造った。そして今、全ては達成せしめられた』


短い間に続いて、無機質さを取り戻した横尾の声が響く。


横尾『……以上で、≪ドラッグオンドラグーン≫正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈ると共に、最後に一言……』
 

僅かな沈黙の後、その言葉は発せられた。


横尾『圧倒的な、絶望を――』
 

真紅の巨大なローブ姿がゆっくりと上昇し、フードの先端から空を埋めるシステムメッセージに溶け込むように同化していく。
 
肩が、胸が、そして両手と足が血の色の水面に沈み、最後に一つだけ波紋が広がった。

広場の上空を吹き過ぎる風鳴りが遠くから近づいてきて、穏やかに聴覚を揺らし、横尾が現れる前の静けさを取り戻す。

が、この時点に至ってようやく、一万のプレイヤー集団が、然るべき反応を見せた。








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