4: ◆Ims7vBApf6[saga]
2014/07/08(火) 00:22:43.46 ID:5FAp/yk20
横尾『プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかし、これはゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、≪ドラッグオンドラグーン≫本来の仕様である』
クライン「し……仕様、だと……?」
クラインが割れた声で呟く。
その語尾に被さるように、滑らかな低音のアナウンスは続いた。
横尾『諸君は今後、この“城”の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
クライン「……、城? 城なんて、この≪はじまりの街≫の一体どこに城があるんだよ?」
キリト「……確かに」
俺とクラインの戸惑いは、しかし、次の茅場の言葉によって一瞬で吹き飛ばされる。
横尾『……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合――』
わずかな間。
一万人が息を詰めた、途方もなく重苦しい静寂のなか、その言葉はゆっくりと発せられた。
横尾『――ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
俺とクラインは、たっぷり数秒の間呆けた顔を見合わせ続けた。
俺達の脳そのものが、言葉の意味を理解するのを拒否しているかのようだった。
しかし、横尾が言いたいことは極めて単純明快である。
脳を破壊するということは、つまり、「殺す」ということ。
ナーヴギアの電源を切ったりロックを解除して頭から外そうとしたら、着装しているユーザーを殺すと横尾は宣言したのだ。
クライン「はは……何言ってんだアイツ、頭おかしいんじゃねえのか。んなことできるわけねぇ、ナーヴギアは……ただのゲーム機じゃねえか。脳を破壊するなんて……んな真似ができるわけねぇだろ!」
掠れた声でクラインが叫ぶ。
周囲のプレイヤーもざわめき始めたが、叫んだり暴れたりする者はいない。
なぜなら、俺を含めた全員が、まだ伝えられた言葉を理解できないか、あるいは理解を拒んでいるからだ。
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