31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:28:26.70 ID:Fl7+HnOB0
男は控え室へと案内すると、しっかりね、と俺に一言掛け去っていった。
「控え室に一人でいるのは初めて故、真、新鮮です」
「そうなのか」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:28:54.45 ID:Fl7+HnOB0
ステージ上では演技から喋りまで一人でこなさなければならないのだ。
もちろん司会者はいるが、全てを任せられるわけではない。
あの朝戸レイでさえもこれはなかなか慣れない、とインタビューで答えていた覚えがある。
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:29:25.61 ID:Fl7+HnOB0
「ほんとに困るんだよっ。しっかりしてくれないとっ」
「すいません」
「すいませんじゃないよ。すみませんなんだよ」
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:30:07.31 ID:Fl7+HnOB0
「君もだよ君もっ。何ぼーっとしてんの? 何かいうことあるんじゃないのっ」
今度は矛先を貴音へと向けた。やめろこの野郎。貴音のせいじゃねえ。
「待ってください。彼女は全然悪くありません。僕の責任です」
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:30:45.81 ID:Fl7+HnOB0
なんなんだよその言い方。前から思ってたけど君のその喋り方腹立つんだよ。
お高く止まってる感じでさっ!君あれでしょ?友達とかいないでしょ?」
貴音が顔をこわばらせた。さっき言ったことと全く違うじゃないか。
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:32:07.35 ID:Fl7+HnOB0
運転しながら俺はつとめて冷静に事を振り返る。
あの男は主催責任者の一人だ。
集客を見込んで企画を採用したのだから、怒るのは筋違いだと思うのだが人間理屈では動かない。
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:32:50.17 ID:Fl7+HnOB0
ミラー越しに見える貴音は俯いていて表情はよく見えない。
俺のかける言葉にこいつの未来がかかっている。
「貴音、あの人もそれだけ期待していたってことだよ。次だ次。な?」
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:33:44.47 ID:Fl7+HnOB0
「昨日そんなことが…」
「ひどい人ですねー」
律子と音無さんに話をすると、ふたり揃って憤慨した。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:34:14.57 ID:Fl7+HnOB0
「今日、貴音の家に行ってみます」
幸い、というべきか、今日の貴音は仕事がない。
それは本人も知っていたはずだが、頭が回らないほど疲れていたと考えるべきか。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:34:42.05 ID:Fl7+HnOB0
インターホンを押すとすぐにドアを開けてくれた。
「どうぞ」
「ああ、お邪魔します」
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:35:27.94 ID:Fl7+HnOB0
服だ。服がないのだ。おそらくあの押入れに置いてあるのだろう。
ダンボール箱は服を入れるには小さすぎる。
テーブルの上に見舞いのゴージャスセレブプリンを置くと
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