過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
↓ 1- 覧 板 20
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 19:26:57.86 ID:HorbTFBDO
「象掛……きさがけと呼ばれている、拒食症の象の怪異だ。怪異ってのはお化けや妖怪の類だと思ってくれていい。象掛は主に年頃の女子に憑く。この怪異に取り憑かれると、対処をしない限り体重が倍々に増えて行く」
「ば、倍……!?」
「ああ、今量って200kgとちょっとだから……次は400kgだな」
三村の公表プロフィールの体重は52kg。
倍の倍で208kg……とは実際にはならなかったのはまぁ、そういうことだ。
三村の名誉のためにも正確な数値は伏せておこう。
場所を事務所から移したのもこの為だ。
一般的な建築物の一平方メートルあたりの最低耐荷重の基準は180kgくらいらしい。
事務所の床が三村の重みで抜けたら笑い話にはなるかも知れないが怒られるのは間違いなく僕だ。
怒った千川さんはキレた影縫さんレベルで怖いのだ。
「そ、そんな! 今のままでも辛いのに……!」
そりゃそうだ。
体重表記がkgじゃなくてtなアイドルなんて前代未聞だ。
「ともかく、一度発症するとすぐに体重は倍になっていく。早く手を打つぞ!」
「手があるんで……きゃあ!?」
「なぁっ!?」
治る手がある喜びのあまりか身を乗り出す三村だったが、その勢いと現在の重さが慣性の法則により、僕に倒れこんできた。
「三村あああぁぁぁ!! 潰れる潰れる!」
「ご、ごめんなさい!」
辛うじて支えるが、腰あたりが悲鳴をあげている。
女の子の胸へのダイブは望むところだが、さすがに200kgは洒落になっていない。
解呪の方法は確かにある。
あるが、それは三村に言えるものではない。
言ってしまったら、解答が歪んでしまう。
象掛は拒食の象を根源とした怪異だ。
恐らくは十時と動物園に行った時にでも行き遭ったと予想される。
象掛は、ものが食べられずに死亡した象の怪異。
この世に未練を遺した、言わば亡霊だ。
ひたぎの時のように、『お願い』は通用しない。
加えて厄介な事に、神原の猿の手のように『宿主と一体化する』タイプの怪異でもある。
心渡で斬り捨てたいところだが、三村本人にどんな影響があるかわからない以上は使う訳には行かない。
となれば、その未練を祓うために彼を満足させてやればいい。
象掛は宿主と同調する習性があると聞く。
要するに宿主、今は三村にひたすら食事をさせ、三村に『食べる幸せ』を感じさせることでいい。
解呪の方法を話すと解答が歪むというのはそういう理由だ。
幸せというものは決して他人に強制されるものではない。
47Res/59.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。