過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
1- 20
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 19:29:11.88 ID:HorbTFBDO

というわけで。

「三村……これを食べるんだ」

僕は先程下ろした、中身の詰まったビニール袋四つを三村の前に掲げる。

「これは?」

先ほどコンビニで買い込んだものだ。
三村も気付いていただろうが、外見からだけでもかなりの量が入っているとわかる。

中身を広げると、あらゆる食物がその姿を現す。
パックのご飯、駄菓子、アイスクリーム、お茶、スナック菓子、フライヤーのチキンやフランクフルト、ハンバーガーやピザ、中華まんにおでん、クッキーの詰め合わせ、山程のおにぎり、菓子パンに惣菜パン、飴玉にガムにチョコレート、種々雑多なカップ麺に缶詰、と今から食糧危機でも起こると危惧している人間のようだった。
実際、手当たり次第食べ物を買って来たので店員さんにも奇異の視線で見られた。

「あ、あの、これ……」

「詳しい話をしている暇はないんだ! さあ食い尽くせ三村!」

「無理ですよこんな量!」

「大丈夫だ、今の三村はいくら食べても満腹にはならない筈だ……身に覚え、あるだろう?」

「…………! はい……最近、何を食べてもおいしくて……いくら食べてもお腹が減って……」

それが、三村が最近見かける度に何かを口にしていた理由だ。
いつも何かしら食べているイメージがあったのでちっとも違和感がなかったのは、今でこそ皮肉でしかないが。

それでも三村はアイドルだ。
自制が効かない齢でも向こう見ずな性格でもない。
ダイエット勝負だって、彼女ならばやってのけると思ったからこそ、提案したのだから。

「詳しく話す時間はないが、体重が倍になるのは怪異が顔を出し始めた証拠だ。危険であると同時にチャンスでもある。三村は今までよく我慢したよ、食べるなら今しかない」

そう、今ならば『退治』が出来る。

逆に言えば、食べる行為が怪異に通用するのは体重が倍化した今しかないのだ。
本来ならば象掛は欲望のままに食事を続け、体が先に壊れてしまう恐ろしい怪異だ。
その点で、三村は本当によく我慢した。

「ち、ちなみに食べないとどうなります?」

「体重が増え続けて、やがてはその重さに耐えきれず自壊する……」

「…………っ!!」

三村の表情が戦慄に歪む。
と、同時に地面が微かな悲鳴を上げた。
見ると、僅かではあるが土が凹んでいる。
また、三村の体重が倍化したのだ。

現在、凡そ400kg。

「食べたら、治るんですよね……?」

「ああ、保証しよう」

100%ではないが、今はそう言うしかない。

「……いただきます!」

気合を入れて手を合わせる律儀な三村だった。

良し、後は僕も言葉での誘導に努めよう。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
47Res/59.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice