過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 18:26:24.65 ID:HorbTFBDO

「ロシアは、リンゴを使ったお菓子が多いです。簡単なものだとヴァトリュシカ……ジャムやチーズを塗って食べるパイや、チャク・チャクという蜂蜜の焼き菓子がとても美味しい、ですよ」

話は変わるが、巷にはフードファイト、という催し物がある。
その名の通り、食べるという至極普遍的な行為において優劣を競うのだが、僕はこの対決を平和の象徴として捉えている。
過去においては食糧不足で人が死ぬことなど日常茶飯事、とまでは行かなくとも珍しい事ではなかったと聞く。
現在でも発展途上国では稀に見られる光景ではあるらしいが、少なくとも世界一平和な国に産まれて来た身としては実感が湧かない、というのが不謹慎極まりないが本音だ。
食べる、という行為はそのものが人間の欲求に根付いているだけあって、睡眠と繁殖に並んで大切であり、人生においての楽しみにもなり得る。
近代化において食事の質も一定標準を保てるようになり、食品の過剰流通とその廃棄が問題になる程だ。
ひょっとしたら現代がこの先の未来も含め、人類歴において最も食に関して豊かな時代なのかも知れない。
ならば場合によっては食文化を冒涜しているとも取れるフードファイトを、娯楽として楽しめると思うのも致し方ないというものだ。

「リンゴかぁ……だったら今度、アップルパイを焼いてくるね!」

三村が口周りにタルト生地をくっつけながら微笑む。

三村は、本当に美味しそうにものを食べる。
三村を見ていると、食べる、という当たり前の行為がさぞ神聖で尊いものであるかのように思えてくるから不思議だ。
その幸せそうな笑顔に、餌付けをしてやりたいと何度も思ったのは僕だけではあるまい。

しかし……平均年齢十五歳のアイドルたちに囲まれてアイドル手作りのスイーツを食べる、なんてファンに見られたら撲殺されそうな場面だな……。



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