過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 18:28:20.79 ID:HorbTFBDO
話を戻そう。
結局僕が何を言いたいのかというと、よく食べる女の子は好ましい、ということだ。
僕の知り合いにはあまり食に関してこだわる人間はいない。
敢えて言えば忍がドーナツ好き、というくらいだが、彼女にとっての本当の意味での食は人間の血液なのであって、ドーナツを含める他の食物は嗜好品に過ぎない。
忍が人間の血液に好き嫌いがあるのかどうかは不明だし、聞きたくもない。
もし僕の血が人間の中では不味い、なんて言われた日には泣いてしまうかも知れない。
「アップルパイ……ハラショー、素晴らしいです」
「アップルパイってリンゴを一番おいしく食べられるお菓子だと思うんですよ!」
「そうだよね! あのサクサクしたパイ生地としっとりとしたタルト生地のハーモニーにリンゴの酸味……」
アップルパイについて目を輝かせながら語る女の子の脇で、三村謹製の切り分けられたタルトを一口で頬張る。
苺の酸味とタルトの卵とバターの甘味が絶妙に相乗効果となってお互いを高め合っている。
うん、美味い。
これなら身内贔屓抜きにしても喫茶店でも開けそうだ。
何でも三村はお菓子作りが趣味なのだとのこと。
趣味でこれ程の腕前ならば普段からあれだけ自分で作って食べてを繰り返しても仕方ないというものか。
「どうですかプロデューサーさん?」
「ああ、すごく美味しいよ。三村はお菓子作りが得意なんだな」
口元を拭い、これまた三村の淹れてくれたシナモンティーに口をつける。
シナモンは男女共通で好みの分かれる素材だと聞くが、僕はかなり好きな類に入る。
確かに多少癖はあるがつんと鼻腔をくすぐりながらも、華やかな花壇をイメージさせる高貴な香りだと思うのだ。
……と、詩人になっている場合ではない。
「ありがとうございます。えへへ、私、嫌なことがあったりするとストレス発散も兼ねてお菓子作りに没頭したりしちゃって……」
気付いたら趣味になっちゃいました、と三村。
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