過去ログ - 琴石なる17歳「先生が島に帰って来ました」【ばらかもん】
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6: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:55:03.28 ID:jHnrlzaQ0

なる「先生はどうして書道家になったの?」

半田「どうしてって……そりゃあ書道家『半田清明』の息子として生まれた以上は、こうなることは決まってたみたいなもんだしな」

以下略



7: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:55:49.15 ID:jHnrlzaQ0

 そう言ってぽすん、と先生に寄り掛かる。先生は先生で、わたしの体重を横に受けたまま、てきぱきとお仕事の道具を出して行く。こうして、仄かにする墨汁の香りと、先生の匂いに包まれる時間は幸福かもしれない。
 昨日はあまり眠れなかったからか、途端にうつらうつらと舟を漕ぎそうになってしまい、頬をぺちんと叩く。

 不思議だな。また先生と会えると聞いた時は、ドキドキして眠れなかったのに、こうして先生とピッタリくっ付いている時は、心臓がドキドキするのと同時に、心が安らぐんだから。
以下略



8: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:56:22.93 ID:jHnrlzaQ0

半田「前はタックルかまして大人三人海に落としてくるような奴だったからなぁ。あの頃を思えば随分おしとやかになったもんだ」

なる「だって……」

以下略



9: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:56:53.05 ID:jHnrlzaQ0

なる「……先生はさ、おしとやかな子の方が好き?」

 そう自分で訊いて、次の瞬間顔が赤くなった。何を訊いてるの、わたし!

以下略



10: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:57:22.31 ID:jHnrlzaQ0

 この朴念仁! なんでそこで『母さん』が一番に出てくるんだろう。そういえば、持ってる宝物ってたしかどっかの歴史上の人物の絵だったような……。ああ、駄目だ、やっぱりこの人書道のことしか見えてないや。

 ……けど、それでも、先生の魅力に気がついている人はわたしだけじゃない。先生は、わたしなんかよりも、もっと、ずっと広い世界に生きている。だからこそ、いつ、他の誰かが、わたしの知らない所で先生を取ってしまうか分からない。
 
以下略



11: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:57:49.83 ID:jHnrlzaQ0

 ――あなたの中で、たった一つだけの『大切』には、なれませんか?

 他の誰と同じではなく、他の誰よりも大切と言える、あなただけの人に。

以下略



12: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:58:34.56 ID:jHnrlzaQ0

なる「そういえば、ヒロシは?」

半田「ああ、折角帰って来たんだからってメシ作ってくれるみたいだ。アイツも久々に帰って来たらしいから悪いって言ったんだけどな。まあ好意には甘えることにした」

以下略



13: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:59:14.51 ID:jHnrlzaQ0

 ちょっと、ちょっと待ってよ先生。今の間はあきらかにおかしいよね? まさか、先生……居るの?

半田「……去年振られた」

以下略



14: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:59:43.78 ID:jHnrlzaQ0

 なんか、この人に恋愛事を気にするだけ……無駄なエネルギーを使っちゃうのかな。彼女が居たことには、正直ショックを隠せないけど、でも……。

なる「先生」

以下略



15: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 19:00:18.26 ID:jHnrlzaQ0

 ばあん、と庭の雨戸を開けて入って来たのは美和ネェ。今年で24歳、昔の先生と同じ位になったけど、今も昔と変わらず元気に村を走り回っている。勿論仕事でだけど。

 雰囲気をぶち壊してくれた美和ネェを涙目で睨みつけるけれど、生憎わたしの視線には気付いていないようだ。
 
以下略



16: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 19:00:46.45 ID:jHnrlzaQ0

半田「ああ……俺も見た時は誰かと思った。どこのギャルって感じだったな」

美和「まあ、結局黒髪に戻したけどね。都会に越した以上は少し位お洒落もしたかったけど、こっちで仕事始めるとそうもいかんよ」

以下略



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