過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/21(月) 01:05:59.50 ID:r4w0sd270
「カラァ……」

 カラカラがその墓の前で止まる。目には涙があふれ、寂しげな鳴き声が響く。

(カラカラ……)

「レッド君、これを」

「あっ」

 レッドはフジ老人から献花用の花を託される。

「……カラカラ、祈ろう。ガラガラの安らかな眠りを……」

 レッドはカラカラと合わせた手の間に花を差し込み、共に墓へ供える。

 レッドはゆっくりとカラカラの手を離すと、カラカラは上を向いて、叫んだ。

「……カラー! カラー! カラー! カラー! カラー!……」

 母へ捧げる雄叫びが、いつまでもシオンタワーに木霊する。あの日、カラカラが母を失った時から続く悲しみを受け止めるための、最初の一歩だった。


 レッドは程なく、旅立ちの時を迎えた。カラカラはもう、一人でちゃんと立っている。

「色々ありがとうございました。フジ老人」

「礼を言わなければならないのはこちらじゃよ。元気でな」

「はい、カラカラ、また会いに来るよ」

 レッドは体勢を低くしてカラカラに視線を合わせ、頭骨をかぶる頭をなでた。

 しかしカラカラはその撫でる手を無視し、レッドの服の裾を掴んで離さない。

「カラカラ?」

「……連れて行ってくだされ。カラカラはあなたについて行きたいようじゃ」

「えっ!? そうなのか、カラカラ……?」

「カラァ……」

 その瞳が、レッドを真っ直ぐに見つめる。

「グリーン君が来た時にはわしから言っておこう。信頼できるトレーナーに託したとな」

「……わかりました。それじゃあフジ老人、お元気で」

「レッド君とカラカラも息災でな。カラカラに広い世界を見せてやってくれ」

「はい。行こうか、カラカラ」

「カラ……!」

 カラカラの手を引いていく。今度は共に旅を歩む仲間として。

 そしてレッドはカラカラへの優しさと、今もなお先を行くライバルを想い、前を向いて一歩一歩新たな冒険へと足を踏みしめていった。


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