過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
1- 20
151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/26(土) 00:12:42.97 ID:ZPCws2+10
 ジムリーダー。それは、栄光を目指すポケモントレーナー達の登竜門。

 あるときは高き壁として。あるときは次への踏み台として。またある時は良き友として、ポケモンとトレーナー達に戸を開けて栄光への道を示す。

(私はその職務を、全うしていると思っていました)

「フシギソウ、はっぱかったー!」

「クサイハナ、しびれごな」

 タマムシジムにエリカが赴任してから、その人柄とポケモントレーナーとしての強さを慕い多くのトレーナーがジムに集まってきた。

 ポケモンと過ごす日々に不満などあろうがはずがなかった。うまくいかない苦しみも絆ある仲間と共に立ち向かえば、心暖かな喜びへの途上に変わる。

(そう確信していた。だのに、圧倒的な力の前に積み上げてきた努力と絆が全て無力であったと証明された。タマムシの危機の前になにもできず、私の心は、泣き崩れていた……)

「クサイハナ、はなびらのまい」

「ひるむなフシギソウ! つるのムチ!」

 しびれて動きが鈍るフシギソウに、クサイハナが猛然と襲いかかる。エリカはまだ、戦うクサイハナを直視していない。

(手の震えは未だに止まらない。あの時、サカキの圧倒的な力の前に蹂躙される仲間の姿が瞼の裏に焼き付いて離れない。悲鳴が耳から離れない。私が戦う選択をしなければ、私のポケモン達が傷つくことはなかった!)

「よく耐えたぞ! やどりぎのタネ!」

「クサイハナ。すいとる」

(私のやり方は間違っていたのか。もしジムのトレーナー仲間たちがサカキと出会ったら、勇気を持って立ち向かう。だけどその結果……)

 傷つき倒れていく仲間が脳裏にフラッシュバックする。勇気でなく無謀。勇者でなく愚物。果ては諦念と悲劇の墓石。

 わかっている。わかっているはずなのに。

「クサイハナ、メガドレイン」

「フシ!?」

(私はどうして、まだ戦っているの?)


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
439Res/432.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice