過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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336:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/23(土) 13:33:16.90 ID:e8JXTbi30

 レッドと男、お互いに無言。レッドはバトルスペースに歩き出すが、男、サカキはレッドを気にした様子もなく天窓を見上げている。

「ロケット団の由来はな」

 サカキはレッドを見ずに、突如語りだす。顔は感情の起伏が見えず、声色も平坦だった。

「"Raid On the City. Knock out Evil Tusks."。町を襲いつくせ、撃ちのめせ、悪の牙たちよ。故に"ROCKET"。随分と好き放題やらせてもらったよ」

「あんたはこれからも、ロケット団の活動を続けるのか?」

 レッドの語気はそれほど強くなかった。今のサカキの纏う闘気が、今まで戦ってきたジムリーダー達に似ている。

「……金も地位も名誉もいらない。自らのポケモントレーナーとしての力、カリスマ、知力、全てをもって構築した、正義も法も縛ることができない悪の自由。君には理解できないだろうがね」

 サカキは目線を落とし、レッドの対面に位置するバトルスペースへと歩いて行きながら言葉と続ける。

「矮小な正義などさえずる羽虫でしかない。ジムリーダーやジュンサーが束になろうが、自身のポケモンたちの力をもってすれば些細な問題にもなりはしない」
 
 サカキはいついかなる時でもそう確信していたし、事実そうだった。タマムシ、ヤマブキで捕らえられたロケット団員も一兵卒の一部でしかない。

 サカキがバトルスペースに着くと、今度は笑みを浮かべながら大きく口を開けて叫んだ。

「痛快だ! 正義と夢を謳った扇動者が消えていく! 力があればどんな悪意でもまかり通る! 私の様な悪の親玉がジムリーダーに就いているように、君が思っているほど世界は正道を歩んではいない」

 レッドは聞いているだけ。しかし決してひるんではいない。

 サカキの脳裏に、シルフカンパニーでポケモンを庇ったレッド、そして強大なる闘気を纏ってサカキに対峙したレッドとそのポケモン達が浮かぶ。

「ポケモントレーナーレッドの正道は、私の邪道に真っ向から対峙している。……邪を突き進むものとして、君を真正面から叩き潰す。必ずな」

「その考えが既に正道に半歩足を踏み入れていることに、あんたは気づいているんじゃないか?」

 レッドのその言葉にサカキは目を見開く。しかし、ふっと笑みを零すといつもの余裕たっぷりの貫禄を取り戻す。


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