過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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362:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/08/27(水) 00:14:34.25 ID:DuvLgYc80
 セキエイ高原はポケモンスタジアム内にあるトレーナー用ホテルロビー、待合用のソファーで待っていると、約束の時間10分前に彼は現れた。

 チャンピオンロードを踏破したばかりだというのに、くたびれた様子も見せず快活に歩いてくる。元気な姿とあどけない顔立ちは歳相応だが、対面のソファーにすわりこちらを見る目は落ち着いていて余裕がある。

「すいません、取材を受けるなんて初めてなもので。ちょっと緊張しています」

 そう言ってはにかんで笑う姿には、どこか少女のような魅力すら感じてしまう。しかし彼の胸に光る8つのバッジは、彼が今まで対戦してきた記録と映像を見る限り決して不釣り合いではない。

 今回ポケモンリーグに挑むトレーナーの中で最年少の少年、マサラタウンのレッド。挑戦から勝負後まで勝ち負けの関係ない密着取材に、彼は快く応じてくれた。

「これで一戦目で負けたらかっこ悪いですね」

 からりと笑うと場の雰囲気が一気に柔らかくなる。

 かつては愛想が悪く人前で話すのも苦手だと聞いていたが、今の君からはとてもじゃないが想像できないことだ。そう言うと、

「出会ってきたポケモンと、トレーナーの方々のおかげですよ」

 彼は笑顔のまま腰のモンスターボールをなでた。彼の小さい手は今までなにを掴み、なにをこれから手繰り寄せようとしているのか。


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