過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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420:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/21(日) 19:05:59.53 ID:Z03kpI3k0
 グリーンが大文字を叫ぶ。レッドは笑った。

(フシギバナ、ありがとう)

 フシギバナの花の中心に光が収束する。今更ソーラービームなど遅い。ますますグリーンが勝利を確信する。

 相性差を跳ね返すための一撃、レッドはいつだって学び、それを活かしてきた。

「………はかいこうせん!!」

 レッドの言葉とともに、フシギバナが放った光は大文字をかき消し、リザードンを飲み込む。

 その光景を観戦しに来た7人のジムリーダー、ポケモンだいすきクラブ会長、フジ老人、海を超えた時差の中チェレンや寝ぼけ眼をこするベル等と共にテレビにかじりつくブラックとホワイト。そして草原の中ヒノアラシと共にラジオ聞いていた少年が、手に持っていた黄色と黒の帽子を落とす――。


「ポケモン、人によって捕獲され、支配され、戦わされ、命じる主人は友情を謳う。言語を発せず感情も曖昧、絆など所詮人の思い込みでしかない。モンスターボールから開放されたポケモンがどれだけ主人の元に残ると思う?」

「従う相手との友愛を錯覚して、一つの生物の生き死にを握った自分の罪から目を背ける。そんな奴らが心底嫌いだった。悪として、一度手に入れたならば道具として接することに何故徹しない」

「種族を超えた友情を謳うならば何故モンスターボールなんてものがある? なあレッド、人とポケモンが心を通わすことができるのならば……今の世の中は、どこか間違っているんじゃないか?」

 今思い出す。純粋な疑問をレッドへ向けるサカキを。

「つまらん事を聞いたな。忘れてくれ」

 ふっとサカキは表情を崩し、レッドを称える。サカキの澄み切った笑顔に、レッドは声が出なかった。

「こんなボスでは人心も離れよう。ロケット団は解散する。じゃあな」

「……これから、どこに行くんだ?」

 サカキはレッドへグリーンバッジを放り、背を向けて歩き出す。

「ポケモントレーナーとしての高みを目指し続けているならば、また会うかもな」

 サカキがジム奥の暗黒に消えていく。

「レッド、お前にはポケモンとの真の絆がある。ポケモンと接してきた多くの人間達が目指したものに、お前はなれるだろう」 

 あの時、何も言えなかった。


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