31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 18:19:30.99 ID:TmyX6+Eao
「君は魔法の助けによって何かがなくなったのは分かっていた。
実際に確かめてみて何かがなくなった実感もあった。
だけどじゃあ何がなくなったのか、それは分からなかったんだ」
違う? と夫は訊いてきた。
ヘレナは無言だったがそれはなによりも確かな肯定だった。
「君は何をなくしたのかな?」
「……知るか」
「君はなんで自分で探さないんだろう」
「知るか、そんなこと」
「ぼくが教えてあげようか? 実のところ君は――」
「知らない! 興味もない!」
ヘレナはとうとう大声をあげてそれを遮った。怒声というより悲鳴に近い声だった。
「実のところ君は分かってる」
夫は構わず続けた。
「何をなくしたのかもなぜ自分が分からないふりをしているのかもなぜ自分で探さないのかも。全部分かってる」
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