過去ログ - 続・スーパーカンタイロンパ2 -さよなら絶望鎮守府-
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922: ◆jPpg5.obl6[saga]
2014/11/09(日) 00:08:54.64 ID:Lw4IezyS0
天龍は刀を片手で構え、再び銃弾の雨を潜り抜ける。

そして「彼女」の温度が、戦場を支配した。

弾幕とモノクマの群れに包囲された絶望的空間。

その動きを把握した天龍は刀を振る。縦に横に斜めに右に左に。突く斬る殴る蹴る。

モノクマを自爆させた勢いで地面を蹴り2体3体斬る。

その内黒い刀---名は黒龍丸(天龍命名)---が刃こぼれを起こし始める。

しかし振り回し続ける。そして黒龍丸が折れた。

刀を捨て、素手に切り替える。流麗な動きに対応できないのか、弾幕の方にモノクマが突っ込んでいき自滅していく。

空間を確認した天龍は(やっぱモノクマの爆弾じゃ門は壊せねぇか)と確信する。

だが、彼女は止まらない。どうすれば脱出できるのか、それを「聞きださなければならない」。

龍田を---妹を殺すことではない。彼女を絶望させ、吹雪をはじめとする希望を未来へつなぐ。それが、最大の目的。

今、その決意と反して彼女は口を閉ざしている。だが会話している訳ではない。この状況こそが、天龍にとっての「会話」なんだから。

天龍は戦うことしか知らない。電探なんて物はとうの昔に捨てた。そんなモノなんてなくても、目測と感覚で分かるのだから。

戦うことこそが自分の全てだと思っている。だから深海棲艦や艦娘以外に生身の人と戦うのだろう。

戦場と妹こそが全て---そして、妹を護る剣となり盾で有ればいいと。

だからこそ、「力」こそ彼女の言葉だった。

罵倒と砲撃と弾幕と魚雷と飛行機、戦闘車両の音・・・それは実の妹でも同じだった。

龍田が罵声を浴びせているときは何も言い返せずに怯えて謝る事しか出来なかった。

しかし今は違う。おそらく、初めて---妹が自分と同じ「言葉」を向けてくる。

あらゆる手段で世界を壊す絶望の兵器が、今、自分と同じ言葉で語りかけてくれている。

歓喜。天龍に沸く感情。戦場でただひたすら語り続けた。

備品である重火器からゼツボウを吐き出す。体と心を折る無限の暴力。しかしそれを彼女はロンパする。

やがて彼女はモノクマの数が一向に減らない事に気づいた。それどころかすでに50を超えようとしているではないか。

だが、今の天龍の心はその程度では揺らがない。

ふるい続けている内に少女の心の中には希望とも絶望とも違う「何か」が満たされていた。

妹に見捨てられる事で絶望を知り、それによってもたらされた暴力で希望を知った。

この玄関前に限定された空間こそ彼女の完結した世界なのかもしれない。

希望に満ちた譜面で絶望的なリズムに身を任せ踊る。

今の彼女は---


コンピューター室最奥 モノクマルーム


一体どれだけの時間が経過しただろうか。

玄関前監視カメラには1体の超超弩級軽巡と無数のモノクマが映し出されている。

モノクマはさらに増え、現在は100以上に膨れている。

そして天龍に爪を立てようとしているのだ。

ほとんどは、天龍の動きに反応する自動制御と手動のプログラミングだが---機械的とはいえ天龍が怯える様子も無い。


<今回はここまで>


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