過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:32:12.75 ID:8oJAdiKmo

 それでも試みるくらいはいいかもしれない。
 そう思って、俺は訊ねてみた。

「なにかあった?」
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:34:58.96 ID:8oJAdiKmo

 ドラマが終わった。テレビを消した。
 妹はしばらく黙り込んでいたが、やがて、ふたたび、しくしくと泣き声を漏らし始めた。

 気を紛らわすものがなくなったからかもしれない。
以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:36:27.98 ID:8oJAdiKmo

「シャボン玉」

「なんであるの?」

以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:36:59.26 ID:8oJAdiKmo

 しばらく出窓からシャボン玉を吹いていると、

「わたしもやりたい」とさっきまで泣いていたのを忘れたみたいな顔で妹が言うので、

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:37:50.48 ID:8oJAdiKmo

「なんかたのしい」と妹が言ったので、俺はその場に彼女を残して台所に向かった。
 妹は一瞬だけ俺の方を気にしたようだったけれど、すぐにシャボン玉を吹くのに集中し始める。

 俺は流しの下の棚の中にしまっていたシャボン玉銃を取り出した。
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:38:30.51 ID:8oJAdiKmo

 シャボン銃を受け取ると、妹は出窓から腕を突き出してぐっと引き金を引く。
 からからという音と一緒に、吹き出し口からシャボン玉が飛び出していく。

「おお、これは……」
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:40:51.59 ID:8oJAdiKmo

「よーし」という彼女の声が、開けっ放しの出窓の方からかすかに聞こえる。
 重苦しい曇り空に向けて、彼女はしばらく引き金を引いていた。

 とくに楽しそうにも見えないけど、きっとはしゃいでいるんだろう。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:41:21.83 ID:8oJAdiKmo

 それからしばらく彼女はシャボン玉を吹いていたが、楽しそうには見えなかった。
 むしろ表情が淡々としていて、退屈そうにすら見えた。
 
 ストローに息を吹き込むたびに空にまいあがる泡の群れを、彼女は熱心に目で追いかけていた。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:41:55.16 ID:8oJAdiKmo

 そのまま手持ち無沙汰にぼんやり窓の外を眺めていると、不意に遠くの方から低い音が聞こえてきた。

 なんだろうと思って空に目を向けること数秒、にわかに強い雨が降り始める。

以下略



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:43:28.42 ID:8oJAdiKmo

 彼女はまだあそこにいるんだろうか。何かを待っているみたいに、じっと空を睨んだまま。

 高い秋空の下で強い雨に打たれる彼女の姿。
 その幻視は一瞬のことだったのに、俺の頭に強い印象を伴って焼きついた。
以下略



32: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2014/07/16(水) 00:44:12.03 ID:8oJAdiKmo
つづく


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