過去ログ - 【安価&コンマ】新たな魔法使いが生まれた【仮面ライダーウィザード】
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◆aGwfZTc7eA
[sage]
2014/08/09(土) 02:42:08.79 ID:zaAoO4Dl0
「はぁ〜」
薫が夢中になって食した焼き魚は、もうお頭と骨と尻尾だけ、想像外の美味しさに薫は満足だった。
一々と細かい理由も思いつくが――そんな理由は今はいらないだろう、
身体が、心が感じたままの美味しさを、刻み込む……其れで良かった。
「ごちそうさまでした」
「あ、ごちそうさまでした……て、貴方もう食べ終わったの? 骨は?」
「少々急ぐようでしたので、お粗末でしたが」
「ああ……そう」
駄目だ、軽い重い関係なく、この男に、一々突っ込もうとしたら話の進みが遅くなる。
此処は一気に畳み掛けよう……そう思い薫は口を開く決心をし。
「ジョ――」
「そう言えば、海岸と言う事でしたよね? 船か何かがあったのでしょうか?」
「…………」
どうしてこの男はこうも良いタイミングで話しかけてくるのだろう? 察しが悪すぎる男は嫌いだが、
察しが良すぎる男も、薫は嫌いになりそうだった。
「薫さん?」
「その通り……正確な種類は解らなかったけど、小型船だったわ、私が確認した時、乗務員は居なかった。
何処かに投げ出されたか、この島の調査に降り立ったか、どちらにしても此処でゆっくりしてる場合じゃ――」
「…………」
「? ジョージ、どうかしたの?」
多少の苛立ちからか、薫は言葉を荒げそうになったが、
ジョージが顎に手を当て、深刻そうに考えている様子から、踏み止まる。
「薫さん、私は薫さんの体温低下を防ぐ為及び焼き魚を作る為に焚火を作りました」
「それが――」
どうしたのよ――この言葉を口から出す前に、何となく薫はジョージが言いたい事が解った。
ならば、こちらから情報を出し、より円滑に話を進める方が良いだろう。
「私がこの地帯に踏み入れたのは、砂浜に停まっていた小型船から一人か二人分の足跡が続いていたからよ、
風で随分と消えてたから、確証はなかったけどね――」
「私が倒れていた薫さんを見つけてから今現在まで約2時間……その時、日は落ちていましたか?」
「えぇ、満月が上っていたし、夜と言っていいでしょうね。となると、私が覚えている時間を足して、約7時間か――」
「夜に此方へ探索に訪れたのなら、まだ可能性はあります。近くに島がなければ尚更です、幾日か滞在する為の道具を持っている筈」
「けど、7時間近く経っているのよ? もう船の所に帰っているんじゃ――っ!?」
情報を出し、話を円滑に進める筈が、いつの間にかジョージとの議論に発展しそうだった薫。
が、その空気が突如として一変する。 正確な事は解らないが、何らかの大きな音が森中に響いたのだ。
条件反射的に体がビクッとした薫に、ジョージはスーツジャケットを掛けるのだった。
「ジョージ?」
「薫さん、申し訳ありませんが、少々こちらでお待ちください」
その言葉を聞いて、薫はジョージの両肩を思わず掴んでいた。
――恐怖からか心配からか、何なのかは解らなかったが。
「お待ちくださいって……まさか、音がする方へ行くのっ!?」
「はい、状況を確認し直ぐへ此方へ戻ってきます。 ご安心ください」
「あ、ちょ、ちょっと――」
ジョージが左の手で優しげに薫の右頬を触れる。
薫は何故だか、不安にざわめき立つ心が、落ち着く気がした。
自然と、両肩を掴んでいた両手も、するりと落ちる。
「貴方を一人にはしません、必ず、約束します」
「……破ったら、騒いで騒いで騒ぎ抜いてやるからね」
「ははっ、解りました」
触れていた左の手を戻し、ジョージは薫との約束を了承する。
ゆっくり、ゆっくりとジョージが離れていく、ある程度の距離まで離れて。
「――それでは」
「あ……」
背後へ振り返り、一気に駆け出して行ってしまった。思わず出してしまった呟きすらかき消す様に、信じられない速度で駆けていく、
もう、姿が見えなくなってしまった。 周囲が急速に静まり返る、焚火の音が、そっと吹く風の音が、薫を不安にさせる。
先程まで、あれ程安心していたのに――。
「一人に……しないでよ」
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