過去ログ - 【安価&コンマ】新たな魔法使いが生まれた【仮面ライダーウィザード】
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◆aGwfZTc7eA
[sage]
2014/08/21(木) 00:30:31.10 ID:rnlmpybo0
「――――」
「あ……はぁっ」
テントのファスナーを開き、起こしても、先峰の反応は無い。 恐らくは徹夜したのだろう。
持参した仕事道具を手に、此方からは背を向けて、魔宝石を指輪へとする作業を行っている。
守屋は、ため息をついた。 傍目から見て、同種の橙色の魔宝石2個、手を加えた指輪は既に出来上がっている。
そして、今作業をしている魔宝石は緑色だ。 珍しい物らしいが、これを手にした時の先峰のはしゃぎっぷりは記憶に新しい。
――とにかく、こうなっている彼女はテコでも動かない、よほど集中しているのか、まじかで喋っても、耳元にふーって息を吹きかけても、
作業に没頭しているのだ。最も、された事は覚えているようで、イタズラをされたり、正座をさせられて怒られたり等、手痛い目に合う、
仕方なしに守屋はゆっくりとテントから離れて行く。 旅の中で実感した最も良い方法は、作業が終わるまで此方で時間を潰す事だ。
「はぁぁぁぁ、すぅぅぅぅ、はぁぁぁぁぁ――っ」
作業の邪魔をせぬ様、少し離れた場所で守屋は深く深呼吸する。 柔軟は充分にした、となれば、次は基礎的な動作の復習、
そして不測の事態が起きた場合の対処法の考慮だ。この場所は大量の木々が生い茂っており、草花も生えている。
ただ、人の手が加えられた地面に比べると、高低差があり、小石なども散らばっている。
上手く利用できれば銃などの武器を所持した襲撃者への対処も幾分か楽になるが、利用できなければ一気に相手のペースだ。
守屋は複数の状況を仮定して、練習を行う、絶対に失敗は許されないのだからと、自らを奮い立たせて。
「出来たあぁぁぁ――っ!」
「っ!?―――はぁ」
殆どの人には聞かせないであろう達成感に満ちた、可愛らしい叫び声に、練習途中の守屋は軽く驚き、ため息をつく。
出会った当初の印象は26歳とは思えぬほど……本人に聞かれれば怒られてしまうが、150cm代の身長にまるっとした両目に、
幼げに整った顔立ち、腰まで伸びた長い黒髪にピンクのリボン、とお世辞にも成人を超えた女性には見えなかった。
其れに一見冷たい感じがして、守屋との自己紹介などでもてんで興味がなさそうで、殆ど口を噤んでいた。
――てっきり警備者とその対象として良い関係は気づけないかも知れないと思っていたが、"色々とあり"、
何だかんだで気軽に話しかけてくれる関係にはなれたと守屋は思う。 その"色々"の幾つかは、三十路の大人としてあまり思い出しくないが。
「――ふぅ」
とりあえず、この後の先峰の言動を守屋はほぼ予測できる。
おやすみなさいと言って、直ぐに作業を開始したと考えれば約8時間、そして此れまでの経験まで考慮して、
次に大きく叫ぶ言葉は――"あれしかない"。
「守屋さあぁぁぁぁぁんっ! お腹が空きましたぁぁぁぁぁっ!!」
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