過去ログ - あずさ「空いっぱいのプレゼント」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/19(土) 23:28:16.62 ID:NyTpIXbw0
「あっ、もしもし音無さん?私です、あずさです……はい、すいません、実は事務所に行く途中で迷ってしまって……はい、それが……えーと、港が見える公園なんですけれど……ええ……来る途中で大きな船とタワーが……えええっ?横浜なんですか、ここ……すいません……はい、待ってます」
いつもの様に事務所に行こうとしたら、見慣れない街に居るのはよくある事ですけれど、まさか横浜まで来ていたなんて。
取り敢えず、事務所に電話を入れたら迎えに誰かが来てくれるという事だったので、しばらくはここで待っていなければいけません。
近くのベンチに腰を下ろすと、私はぼーっと海の方を眺めていました。
「……綺麗な所ねぇ」
高台にある公園の展望台に行くと、汐風が心地よく感じます。
夏休みに入ったからか、周りには学生さんの姿も多いです。
皆……彼氏や彼女と、一緒に来ているんですね。
「……はぁ」
なんだか寂しいです。
皆、すごく楽しそうなのに私だけ浮かない顔でポツンと座っている。
でも……それもこれも、私が迷子になるのが行けないんですよね。
事務所の最年長アイドルとして、もっとしっかりして居なくちゃいけないのに。
鞄の中のタンブラーに入れていた冷たいお茶を飲みながら、迎えが来るのを待っている間、私はぼんやりと、公園内を見渡していました。
横浜の港を一望できる公園ですから、やっぱりデートスポットなんでしょうか?
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/19(土) 23:31:00.52 ID:NyTpIXbw0
「……」
私も、誰かと一緒に来られたら……何て事を考えながら、自分の手をじっと見つめます。
小指にむすばれた赤い糸。
見えたら、何にも苦労しないのに。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/19(土) 23:34:53.15 ID:NyTpIXbw0
「……傘、持ってきてないのに」
バケツをひっくり返した様な雨が屋根に打ち付ける騒々しい音を聞きながら、
私はまた、港の方を眺めています。
雨に隠れて、遠くの橋や港のクレーンも見えにくいですね。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/19(土) 23:35:27.56 ID:NyTpIXbw0
自分が世界から切り離されたような、そんな感覚に脅えていると、背中の
向こう側からひた、ひた、と足音が聞こえてきます。
それも、こちらへ徐々に近づいてくる。
段々近づいてくる足跡に思わず目を固く閉じていると、びしょびしょに濡れた
手が、私の肩に触れます。
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