20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:46:25.27 ID:9uLTT2Jd0
右の人差し指を頬に寄せ、少し考えて彼女は答えた。
「すごいなぁって、テレビを見て思ったりします」
「運動や、音楽に関する経験は、何かありますか?」
「運動、は全然ダメです。
鈍臭いから、小さい頃、かけっこでもいつもビリだったし。歌は好きですけど――」
「それが、どうかしたんですか?」
音無さんは、僕の質問の意図を推し量りかねている様子だった。
「おい、黒井」
高木が僕の腕を掴み、強引に席を立たせる。
そのまま、事務室の奥の方まで引っ張られたところで、高木は切り出した。
「お前、あの子をスカウトする気なのか?
さっき話をしたろ、あの子は本当にお前が求めている子なのか?」
高木は、先ほどとは打って変わってひどく神妙な面持ちだ。
そう、彼女は僕が求めるスキルをおそらく持っていない。
そんな事は分かっている、だが――自分でもどうしたいのか良く分からない。
「第六感というのだろうか――こんな思いは初めてだ。
僕自身、オカルトチックな考えは好かないのだが」
「ならいい」
高木はアッサリと僕を解放した。止めるんじゃなかったのか?
「スカウトするとお前が決めたのなら、俺が文句を言う筋合いはねぇよ。
そういう役割分担だからな」
高木は親指を立て、それを自身の後ろに向けた。
「ほら、彼女待ってるぜ」
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