過去ログ - 高木「人生に乾杯を!」
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39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:40:14.36 ID:9uLTT2Jd0
「肝心の彼女はどうしてる? 俺達の歌姫は」
「今日は、高校の卒業式だったそうだ」
「卒業式ねぇ――」

 とうに日は暮れ、しかしせわしなく人々が往来するドアの窓の外を眺め、高木が呟く。
「短大に入学するが早いか、芸能界に放り込まれて――二年したら引退して結婚だろ?」
「そうだな」

「すげぇ目まぐるしく環境が変化していって、大変だよなぁおっちゃん」
「何を他人事のように。僕らだってその要因の一人だろう」
「分かってるけどよ」

 以前として、高木は窓の外を眺めながら、独り言のように僕に語りかける。
「せめて、引退する時には、アイドルやって良かったって、思ってほしいなぁってさ」


 彼女の青春――それも、最後の二年間を奪う責任を、僕達は自覚しなくてはならない。
 高木の言う事はもっともだった。
「そうするためにも、よりレッスンを重ねて、完成度を高めていく必要がある。
 気を抜くなよ、高木」

「あっ、それなんだけどさ――」
 そう言って、ようやく高木は僕の方に向き直った。
「俺、あの子のレッスン担当しなくて良いかなぁ」


 言葉の真意が分かりかねているところへ、高木が続けた。
「だって、おっちゃんはもうボーカル特化型として確立してるじゃん?
 実力も申し分無い。レッスンだって特に必要無いさ」

「だから、あの子はつまらんレッスンなんてそこそこに、バンバン売り込めば良いよ。
 営業戦略の企画と立案は、お前の仕事だろ?」
 高木は、ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。



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