6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:15:46.02 ID:9uLTT2Jd0
僕と高木の役割分担は、至って明瞭だった。
僕がアイドルの候補となる人材をスカウトし、高木が育てて売り込む。
僕の方が、良い人材を見つける能力に秀でる一方、高木は人を育てるのが得意だった。
仕事やライブの時は、僕が事前に戦略・企画立案を行い、高木が陣頭指揮を執る。
ただ、アイツは何というか、あまりカッチリとせず、感覚で物事をこなすタイプだった。
アイドルの各人がどのようにレッスンを行い仕事をこなしたか、あまり記録に残さない。
これでは、万が一後でつまずいてしまった際、反省のしようも無い。
しかし、なお腹立たしいのは、それでアイツは案外上手くやれているのである。
文句の言いようも無い上に、さらに、アイドル諸君らは僕よりも高木に懐いている。
そりゃあ、僕よりもアイツの方がレッスン等で一緒の時間は多いけど、何か不公平だ。
適当だけど、サバサバして明朗快活な方が、若い子にはウケが良いのだろう。
僕みたいな、地味で几帳面な男と比べりゃ、まぁ、やっぱりそんなもんか。
第一、今はそういう懐いてくれる――もとい、育てるべきアイドルが不足している。
業界の厳しさを目の当たりにして、次々と辞めていき、今残っているのは二人だけだ。
僕がどうだという話ではなく、事務所の存亡の危機に目を向けなくては。
雑念を振り払い、僕は乗り換えの駅で降りた。
スカウトする予定の子がいる大学は、ここからもう15分くらい電車に乗る。
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