5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:13:51.62 ID:9uLTT2Jd0
【1】
資料を一通り揃え、時計に目をやると、もう10時をまわっている。
本当は9時半くらいには事務所を出たかったのだが、少し準備に手間取ってしまった。
「じゃあ、行ってくる」
独り言のように呟くと、ソファーの方から暢気な返事が返ってきた。
人の苦労など知らず、いい気なものだ。
マフラーを忘れてしまったことに気づいたのは、駅が見えてきた頃だった。
気づけよ馬鹿――舌打ちしながら僕は自販機で缶コーヒーを買い、仮初めの暖を取った。
電車に乗り、事務所で揃えた資料と手帳に目を走らせる。
これからスカウトしに行くアイドル候補の通学先と、スケジュール表だ。
今日スカウトするのは二人――。
時間帯的に、一人目は昼食に誘うことになるだろう。
一通り頭の中でシミュレーションした後、僕は資料を鞄にしまった。
高木は、そろそろレッスンに向かった頃だろうか――。
能力こそあれ、アイツのことはどうしても認める気になれない。
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