過去ログ - 阿良々木暦「まゆミミック」
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10: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/07/29(火) 20:04:57.74 ID:YJpQUpwa0

「羽川翼から、臥煙先輩に連絡があったのさ。戦場ヶ原ひたぎが、何かがおかしい、ってね」

羽川翼……あの胸のでかい女か。
何がおかしいのかは、僕らにはわからないんだけどね、と忍野が笑う。

……さて。
色々と事情は混み入っているようだが、今回は自問自答をするまでもない。

俺は金の為ならば死ねる程の金の亡者だ。
例え被害者が阿良々木だろうと百人殺した犯罪者だろうと金さえ貰えるのならばやってやろう。
阿良々木を助けるのは単に結果でしかない。
少々癪だが、言葉通り金には代えられん。

「三千万だ。それで請け負ってやる」

「そうかい? じゃあよろしくね」

まるでコンビニにお使いでも頼んだかのように豆乳ラテを啜る忍野。
こういう所はいつまで経っても気に食わん奴だ。

「大学の時の後輩の篠木ちゃん、覚えてる? ちっちゃくて可愛がられてた」

突然の会話の方向転換に一瞬、戸惑う。
何を言っているんだこいつは。
まあ、こいつが唐突なのは今に始まったことではないが。

「ああ……? あの地味な眼鏡の女か?」

「結婚したんだってさ。今や三児の母親」

「それがどうした」

「いやさあ、僕達も歳を食ったなぁ、なんて思ってさ」

「当たり前だ、もう四十路近いんだからな」

「そろそろお嫁さんでも貰おうかなぁ」

色々とふざけた事を言っているが、こいつは大学時代、相当女子には言い寄られていた。
軽薄な外見と性格とは裏腹に天才肌だった為か、惹かれる女も多かった訳だ。
俺は不能でも同性愛者でもないが女にはあまり興味がない。
恋人なんて邪魔なだけだし、結婚なんてのは以ての外だ。
金が毎月出て行く割にはリターンがほぼ思い付かん悪習だ。
まだ生命保険やギャンブルの方が返ってくる可能性があるだけ幾らかマシだ。
死んでもするものか。

「影縫か臥煙先輩でも貰ってやれ。あの二人は最早完全な行き遅れだからな」

「はっはー、間違いないや」

忍野が自分の襟に着いていた盗聴器らしきものを指先で握り潰す。
知っていて放っておいたらしい。
今の会話も臥煙先輩には筒抜けという訳だ。

「やだねぇ、怖い怖い」

俺も大概だが、こいつは命知らずというよりは、ただの馬鹿だな。

「では、影縫と臥煙先輩に殺される前に取り掛かるとしよう。終わったら直接臥煙先輩に連絡する」

「頑張ってね」

そんなもの、言われるまでもない。

金の為ならば身を粉にしてでも頑張れるのが俺だからな。



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