20: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:38:37.35 ID:7YXMVe5HO
2階はここの店主とその家族が使っていたであろう居住スペースになっていた。風で部屋中が荒らされ放題なこと以外は、ごく普通の家だ。
「もしもーし」
やっぱり反応なし。でも、あの音はまだ鳴ってる。もしかしたら動物か何かかもしれない。
それで十分だ。とにかく他の生き物の温もりを感じたい。
21: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:39:28.37 ID:7YXMVe5HO
西に傾いた太陽の日が差し込む寝室には、キングサイズのベッドがひとつ。遺体は見当たらない。空襲警報を聞いて、店そっちのけで防空壕に避難したのかも。
クローゼットに納まっていた服は、どれも私には大きすぎるか小さすぎるかのどっちかだった。これから冬になるし、手頃なサイズがあれば拝借しようと思っていたんだけど。
さて、本命の音の原因を突き止めないと。
ベッドの下にはいない。
22: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:41:02.52 ID:7YXMVe5HO
こんな話を聞いたことがある。
一般的に怪奇現象として知られるラップ音。その原因のほとんどは、お化けなんかじゃなくて家屋に使われる『木』だって。
昼間、太陽に温められた木材は、夜になって気温が下がると収縮する。その時、『パキッ』とか『ピシッ』とか、乾いた音が鳴ることがあるらしい。
夜だから回りも静かで、余計に響く。臆病な人はそれがお化けの仕業じゃないかと怖がってるんだって。
23: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:41:40.62 ID:7YXMVe5HO
なーんだ。気のせいだった。
ま、こんなとこだろうと思ってたけど。
同じような体験は何度もしてる。
誰かがいた痕跡を見つける度に、いつも「今度こそ」なんて目一杯期待して、結局私の早とちりでがっかりするんだ。
24: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:43:00.54 ID:7YXMVe5HO
涙がこぼれそうになるのをなんとかこらえて、店を後にしようとした。
階段を下りたところで、さっき後回しにした小部屋が目に入った。
今となってはどうでも良いけど、一応見ておこうかな。
真っ暗な部屋を懐中電灯で照らすと、いくつかの紙袋が積まれていた。
25: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:43:45.16 ID:7YXMVe5HO
見つけた。
積み上げられた砂糖のそばにたたずむ、ちょっと小さな紙袋。
表面には『CHOCOLATE』の文字が踊る。
ナイフで袋を切り裂くと……
26: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/04(月) 23:45:38.39 ID:7YXMVe5HO
今回はここまでです
音の正体の件とかすごいチープなんですけど温かく見守って頂ければ幸いです
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/08/05(火) 00:09:26.39 ID:cKERlwi/0
乙ナンダナ
引き込まれるなあ
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/06(水) 19:49:18.77 ID:TDHpDe08o
乙
誰か生きてるといいな
29: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/08(金) 22:25:57.70 ID:WatJhINuO
午後5時過ぎ、ようやく基地に戻って来れた。
この暑さでチョコレートが溶けてないといいけど。
荷物を下ろしてすぐに午後の放送をする。
特に時間は決まってないけど、毎日大体16時から18時の間くらい。あえて時間をバラけさせることで、録音じゃない肉声なんだよって言うのをアピールしてる、つもり。
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